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佳奈多とNO!RYO!大会~ (リトルバスターズ)
作者:m (http://milk0824.sakura.ne.jp/doukana)

紹介メッセージ:
 シチュ:『キモ試しでホラー・NO・RYO!大会』で理樹は佳奈多を選んだのですw

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「佳奈多さん、いいかな?」

「ふーん。ま、いいわ」

「んじゃ、そのメンバーな」

「うん」

「じゃあ、俺ゴールで待ってっから」

「ああ、うん」



…というわけで、探索開始。

真っ暗な校舎内に侵入する。

「うわあ…」

足元が心許ないほどの暗闇。

「なんで私がこんなことしなきゃならないのよ……」

佳奈多さんが恭介の用意した懐中電灯を持ちスイッチを入れた。

「きも試し? 幽霊?」

「そんな非科学的なものがいるわけないのに」

「ただ学校を歩き回るなんて、昼にいつでもやってることじゃない」

「茶番ね」

いつものことだけど、佳奈多さん乗り気じゃないなぁ。

「恭介が準備したんだからお化け屋敷なみに楽しめると思うよ?」

「興味なし」

全否定だった!

「早く帰って寝たいわ」

「ま、まあもう入っちゃったんだし、早く終わらせるためにも進もう」

「そうね」

ここは納涼大会に参加してくれただけ良かったと思おう…。



「直枝、そこのドア」

「あ、うん」

がらがら。

ドアを開ける。

「――異常なし、と」

「次は隣」

「早く、こっち」

「…」

がらがら。

「――異常なし、と」

……まるで風紀委員会の校内巡回に付き合ってるみたいだ。



特別教室棟につくと、僕の携帯に恭介からメールが。

『一個目は理科室。後は札にヒントが書いてある』

「定番中の定番ね」

「けど、理科室っていかにもお化けとかいそうだよね」

「……」

可哀想な人を見るような目で見られた!

「あなたいったい何歳?」

「幽霊なんているわけがないでしょう?」

「一時的な虚血でダメージを受けた海馬が起こす短期記憶の混乱に過ぎないわ」

「寝ぼけた人が見間違えたのさ、ってヤツ」

今日の佳奈多さん、いつになく饒舌(じょうぜつ)な気がする。

話しているうちに理科室に着いた。

「ここね」

「うん」

「……」

「入らないの?」

佳奈多さんが懐中電灯を持っているので、先に入ってくれないと周りが見えない。

「今、入ろうとしてた」

佳奈多さんが一歩踏み出すと。

がたぁぁぁ!!

突然ロッカーからガイコツが飛び出してきた!

「きゃぁぁぁぁぁっ!?」

大声を上げた佳奈多さんが僕の胸に飛び込んできた!

「か、佳奈多さん!?」

目をギュッとつぶり、小刻みに震えている。

「お、おばけ…?」

しぼりだすような声。

……

…そっか。

どうやらさっきまでのは強がりだったんだ。

本当は佳奈多さん、この手のことに弱いみたいだ。

「あ…いや、大丈夫だよ。ただの標本のガイコツだから」

「…ほんと?」

「うん、目を開けても大丈夫」

ゆっくりと顔をあげた佳奈多さんがそちらを確認した後、僕を見る。

「……」

「……」

「……」

――ドグゥ!

「いたたた、なんで蹴るのさっ!?」

「記憶から抹消しないと、処刑するから」

か、佳奈多さん…。

それ本気の目…。



「えーっと次は…」

取った札の裏を見る。

音楽室、という字を上から何かで斜線が引いてあり、下にいかにも怖そうな字。

「2階女子トイレ一番奥、だって」

「な、なんでそんなところに置くのよ!?」

「いや僕に言われても」

そしてトイレへと着く。

「ここは女子トイレだし…」

佳奈多さんへと目を向けると。

「絶対嫌」

本気で嫌がっていた!

「じゃあ、僕が行くからここで――」

「ひ、ひとりで待つの!?」

それも嫌みたいだ。

「い、いっしょが…………いい」

「じゃあ、一緒に行こう」

小さく頷く佳奈多さんを連れ、一緒にトイレに入る。

そして、どうやら懐中電灯係りも僕に託されたようだ。

「……どこにあるんだろ?」

パッと見ではそれらしきものがない。

「そうね、動かせるとしたらそのゴミ箱くらいかしら?」

「そうだね」

「……」

「……」

「佳奈多さん、手離してくれないと」

「ぅ…」

ゴミ箱を動かすと、壁際にさっきよりふた周りは小さなお札。

それを剥がし、裏を見る。

「最後は…恭介の教室だね」

「そう、ならさっさとここを出ましょう」

「ほら、早く」

佳奈多さんが一秒たりともここに居たくない、という様子で出口へと向かう。

「佳奈多さん待ってよ」

先にドアから出た佳奈多さんに続き、僕もドアを開け廊下へ出る。

そのとき後ろからカタリと音がした気もするけど…気のせいかな。



廊下へ出ると、懐中電灯が消えた。

「うわ…」

「消えたわね」

さすが恭介だ…演出に抜かりないようだ。



「たぶん恭介の机だと思う」

懐中電灯なしでも、恭介の机の位置は覚えているから大丈夫だ。

「あった?」

「あ、うん」

恭介の机の中から出てきたのは…プリント?

けど、それらしいものはこれしかないし…たぶん合っているはずだ。

その時だった。

『……ジ……ジジ……ジ……』

突然教室のスピーカーから音が流れる。

『……あ……よ…………あつ……い……』

人の声だ。

ノイズに乗って、聞き取れるか聞き取れないかほどの。

恭介の仕掛けだとわかっていても、さすがにコレは怖いっ。

「だ、大丈夫だよ佳奈多さん」

「もう全部取ったし、戻ろう」

つながれていた佳奈多さんの手を引くが、佳奈多さんが座り込んだまま動かない。

「佳奈多さん?」

「……」

「どうしたの?」

「……」

「?」

「腰……ぬけちゃったみたい……」

「ええーっ」



佳奈多さんを背負いながら階段を下りる。

佳奈多さんってこんなに軽いんだ…。

僕は力がないほうだけど、この重さなら階段を下りてもそんなに疲れない。



1階の廊下を歩き出すと、佳奈多さんが口を開いた。

「……そういえば、こんな話知ってる?」

「昔、ここには木造の校舎が建ってたの」

「へぇ…」

僕は引越しをしてきたので、あまり昔のことは分からない。

「ある日の夜、その木造の校舎で大きな火事があったの」

「夜だったから被害は最小に抑えられたそうよ」

「校舎も半焼で済んだ」

「ただ、そのとき一人だけ不運な女の子がいたの」

「その子はたまたまその日、学校に宿題プリントを忘れてしまった」

「その課題を出した先生が厳しくてね、夜の学校までわざわざ取りに行ったのよ」

「三年生の教室からプリントを取って戻ろうとしたとき」

「たまたま火事に居合わせた」

「特別教室棟の一階、理科室が出火元だったらしいわね」

「女の子が二階に下りたときは、すでに火の手が回っていたわ」

「熱くて、熱くて、熱くて」

「女の子は水を求めて、蛇口があるところまで何とか移動したの」

「けど、火の回りが速くて…水を被ったのはいいけど、逃げ場がなくなっていた」

「火に押されて、そのままトイレに追いやられてそこで女の子は息絶えた」

「けど、おかしなことに消火の後、その子の遺体は見つからなかったそうよ」

「……」

佳奈多さんの語り口調は妙に生々しい。

「…この話、信じる?」

「うーん」

「もしもその話が本当だとしたら、その女の子は死んじゃったんだから…そんな詳しい話はわからないよね」

「だから、作り話かな」

「…そう」

そう言いながら足を進める。



…………。

……。



おかしい。

あれから何分歩き続けただろうか。

いつまで歩いても玄関が見えない。

それに、夏も終わりだというのに妙に蒸し暑い。

汗ばむほどだ。

首筋に佳奈多さんの熱い吐息がかけられる。

「……どうしたの?」

「あ、うん……それがね、玄関ってまだだっけ?」

「玄関?」

「何言ってるの?」



「ここは二階じゃない」



「えっ?」

慌てて窓の外を見ると、たしかに二階だ。

あ、あれ?

さっき確かに階段の一番下まで下りたはずだけど…。

ひとまず階段まで移動しよう。

…………。

……。

おかしい。

何かがおかしい。

階段が……ない。

何度も何度も、2回目にお札を取ったトイレの前に出る。

「はぁ……はぁ……」

いつの間にか駆け足になっていた。

息が上がってきている。

それに暑い…というより熱い。

汗が溢れ出てくる。

「ごめんね。もうちょっと待ってね」

背負っている佳奈多さんに話しかける。

「もういいわ、ここで、休みましょう?」

回されている手にキュッと力が入り、耳元に熱い吐息がかけられる。

それでも僕は廊下を移動し続ける。

1周。

2周。

「疲れたでしょう? 私をおろしたら?」

「そういうワケにもいかないよ」

3周。

4周。

5周。

「疲れたでしょう? もう私をおろしたら?」

「一緒に、ここに、いましょうよ」

「……」

佳奈多さんを下ろして階段を探したほうがいいのかもしれない、けど…。

「キミを置いていくわけにはいかないよ」

「もう少し頑張って。僕と一緒に出よう」

首に回されていた手をしっかりと握りしめた。



6周目。

「あ…」

下へと続く階段があっさりと見つかった。

「ふぅ…ようやく下にいけるよ」

「ようやく……そうね、ようやく……ね」

一階に下りるとすぐに玄関が現れた。





玄関を出るとみんな集まっていた。

どうやら僕たちのチームがビリだったようだ。

「理樹が成績ビリだぜ」

「そんなこと言ってもさ…」

「そういえば、俺たちがおまえを抜かしたはずなのに、まったく気配がなかったな」

…学校で道に迷ってたなんて言えない。

「直枝、どこに行ってたのよ!?」

「……え?」

僕の前には怒り心頭の佳奈多さんが立っていた。

「あ、あれ…?」

そういえば、いつの間にか首に回されていた手がない。

「理樹くん、ひどいよ! おねえちゃん一人置いてくなんてっ!」

「え、え?」

事態がうまく飲み込めない。

「おねえちゃん、廊下で座り込んで泣い――ふがふがっ」

「葉留佳…それ以上口を開いたら…」

「ご、ごめんなさい、ごめんなさーいっ」

そんな喧騒も今の僕の耳には入ってこない。

佳奈多さんがここにいる。

校内は葉留佳さんと移動したようだ。



まるで背中にツララを突き刺されたかのような冷たさが走る。



なら…。



ドクッ! ドクッ! ドクッ!

今さらになって早鐘を鳴らす心臓。



僕と一緒に居た人は……?



「おい理樹?」

「っ!?」

真人の声で我に帰る。

「ど、どうしたの真人?」

「あ、いや、それを訊きたいのはオレのほうだぜ」

「?」

「おまえの背中、真っ黒じゃねぇか」

「えっ?」

「ふむ…キミは…」

「炭でも背負っていたのか?」

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