前回<ロ理樹ちゃんプールへ行くリスト>次回
「――じゃあ、みんなでせ~の、だからね?」
みんなで小毬ちゃんの方を向いて頷く。
「「「「「「「 せ~~~のっ 」」」」」」」
「「「「「「「 わぁぁぁぁぁーーーっ 」」」」」」」
――ザッパァーーーンッ!!
みんなで一斉にプールに飛び込んだっ!
「やっぱり夏は、プールだね~」
「とても気持ちがよいのですー」
「あううう……飛び込んだときお腹打った……」
「ついついおねーさんもいい歳して飛び込んでしまったよ」
「……プールなんてどれくらいぶりか、もう覚えていません」
みんなとっても楽しそうだ。
あたしも、一回潜って顔を上げる。
「ぷはーっ、水の中はくちゃくちゃ気持ちいいなっ」
「だろ?」
先に入っていた真人が寄ってきた。
「あまりの気持ちよさに、ついついおまえも犬神家~とやってしまいたくなるだろ?」
「なるか、ぼけーっ!!」
――ドベシッ!!
「ぐはぁぁぁーっ!! わざわざ水面から足出して後頭部にケリ入れることないだろうがよっ!?」
「うっさいわっ」
ちょっとやりたいと思ってたところに、それを言われるとむちゃくちゃ腹立つなっ。
……。
うみゅ、後でこっそりやってみよう。
「――あれ?」
ふみゃ?
飛び込むまでは横にいた理樹がいない。
「……んっ?」
周りを見回すと。
――じゃばじゃばじゃばーっ、じたばたじたばたーっ!
浮き輪をつけた理樹がジタバタしていた。
――逆さまで。
「うわぁ、理樹っ!?」
浮き輪から小っちゃい足が2本、上にに向かってパタパタしているっ!
きっと飛び込んだ拍子に引っくり返っちゃったんだ!
しかも浮き輪を放せば抜けれるのに、几帳面にもしっかりと浮き輪を掴んでるから、引っくり返ったままだっ!
「おっ、さすが理樹だぜ! あんなアグレッシブな犬神家はさすがのオレも初めて見たぜっ」
「違うだろっ!! 理樹おぼれちゃうだろっ!!」
「なにぃぃぃーっ!?」
「理樹っ、だいじょぶかっ!?」
――くるんっ
慌てて真人と浮き輪を引っくり返す。
くるりと、理樹の上半身が現れた。
「ぷはぁっ!!」
「大丈夫かよ、理樹!?」
「理樹、しぬなっ」
「び、び、びっくりしたよ~…」
「「 ふぅ~~~ 」」
真人と安心の溜息を吐く。
「理樹、今のおまえの犬神家は最高だったぜっ」
「え、ホント!? すごかった? ボクすごかった?」
さっきまで涙目だったのに、急にぽわわ~んと明るくなった!
「ああ、筋肉さんたちが萎縮するほど凄かったぜ!!」
「わぁーっ!」
「よし理樹、泳ごうぜっ!」
「うんっ」
「押してやるよっ」
理樹の浮き輪の後ろにつかまる真人。
「筋肉ジェット、発進しまーす!」
「はっしーんっ!」
――シュババババババババババーッ!!
「はーーーやーーーいーーーーっ! あはははははーーー――……」
真人と理樹はすごい速さで泳ぎ去った…。
今の理樹は、真人並みの単純さだな……。
――プールを見回すと、みんないろんなことをして遊んでいる。
「リキに小毬さん、待つのです~っ!」
「待たないよーっ」
泳ぐ小毬ちゃんと、その背中にくっついて足をじゃぶじゃぶしている理樹。
クドがそれを犬かきで追いかけている。
「理樹ちゃん、クーちゃんにじゃぶじゃぶ攻撃だーっ」
「くらえ~っ」
じゃぶじゃぶじゃぶーっ!
「わふ~っ! リキ、やりましたね~っ」
こうして見ると…理樹と小毬ちゃんとクド、なんか仲良し三姉妹に見えてくるな。
プールの端の方に目を向ける。
「ふう……」
「……ふぅ……」
来ヶ谷とみおが、プールのスミでじっとしている。
「どれ…」
ぽむっ
来ヶ谷が頭の上に折りたたんだタオルを乗せた。
肩まで水に浸かっている。
「……西園女史、最近どうだ?」
「……ぼちぼちです」
「夜ならば月を見ながら一杯と洒落こむことが出来そうなのだがな」
「……お昼の露天も乙なものですよ。」
「……ふう……」
「……ふぅ……」
あいつら、もしかしてプールを温泉と勘違いしてないか?
馬鹿二人の方を見る。
「ゆくぞ、真人!!」
「来い、謙吾!!」
「「 超・筋肉合体ッ!! 」」
「……」
「……どうした、早く乗れよ」
「……真人、もう少し屈んでくれ。高すぎて足が掛けられん」
「これくらいか?」
「むぅ…すまんが潜ってしまってくれ」
「仕方ねぇなぁ…」
「よし、どれ……よっこいしょういち、と」
「いいぞ」
――ザバァーッ。
「「 超・筋肉合体ッ!! 」」
真人が謙吾を肩車しただけだった!
「やべぇ…今ここに無敵の超筋肉ヒーローが誕生しちまったぜ!!」
「ああ、俺とおまえ……もはや向かう所敵無しだっ!!」
「よし真人、出撃だぁぁぁーーーっ!!」
「おうよっ!!」
――ズルっ!
「うおっ!?」
あ、真人が足を滑らせた。
「うわ、うわ、うあぁぁぁーっ!?」
謙吾がバランスを崩して真人の肩から滑り落ちた。
――ゴキャッ。
ちなみに落下地点はプールサイドのコンクリートだ。
あれは助からんな。
二木がいるプールサイドを見た。
――じゃぶじゃぶ。
足だけ水につけて、涼んでいる。
みんなを見回している目は…優しい。
「やはー、おねえちゃん」
プールから上がった葉留佳が、二木の横に腰掛けた。
「なに、もう疲れたの?」
「あはは、そんなところですヨ」
「そう」
「…葉留佳、さっきお腹から飛び込んだけど、大丈夫だった?」
「いやー、痛かったですよ、アレは」
「もう…馬鹿ね」
「……」
「……」
「えいっ」
葉留佳が足で、二木の足にちょっかいを出した。
「……」
無言でそれに反撃する二木。
「むむ……おりゃおりゃ」
「……やっ」
「とりゃとりゃ、それそれっ」
「その程度?」
二人は足で小突き合ったり持ち上げたり、遊んでいる。
あの二人も……仲良しだ。
「――どうしたんだ、鈴」
恭介の声で視線を戻した。
「いや……なんでもない」
「久しぶりだな、こういうのは」
「そ、そうだな」
あたしは恭介の肩に手を掛けてバタ足をしている。
たぶん……小学生とか……それ以来だ。
「たまにはこういうのもいいんじゃないか?」
「ま、まあ、たまになら……………………………………ぃぃ」
「そうか」
「うみゃーーーーっ!? 今、おまえ、クスッてしただろっ!?」
「鈴」
「な、なんだっ!!」
「おまえのその新しい水着……可愛いな」
「ふ、ふ、ふみゃぁーーーーーーーっ!!」
「はははははっ」
「わ、わ、わ、笑うなぁーーーーーーーーーっっ!」
こ、こ、こ、この馬鹿兄貴は一体何を考えて生きてるんだっ!!
………………。
……。
ま、まあ……い……いや…じゃない。
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