花ざかりの理樹たちへ ~プロローグ~ その1(リトルバスターズ)作者:m
紹介メッセージ:
恭介の思いつきで始まった王様ゲームにより、理樹は……。各編はほぼ独立していますので、途中からでもお楽しみ頂けます。
ピピピピッ……ピピピピッ……
携帯電話の着信音が鳴っている。
「……ん、もう朝……?」
時間はまだ朝の5時半だ。
携帯のディスプレイには恭介の名前が表示されている。
――こんな朝早くにどうしたんだろう?
「もしもし?」
『理樹、真人を連れて今すぐに食堂に来てくれ!!』
「……え?」
『じゃぁ、待ってるからな』
ブツッ!
プープー……
「……」
…有無を言わさずに電話を切られてしまった。
電話の恭介の口調からすると、かなり緊急の用事のようだ。
急がないと。
「真人、起きて!」
「……んごッ……ぐがァ……」
いくら揺らしても全然目を覚ます気配がない。
…この時間じゃ無理もないか。
けど、急がないと恭介のピンチだ。
「真人、ゴメンっ!」
床に置いてあった5キロのダンベルを持ち上げ、真人のお腹に落とす。
――グボォッ!!
「グハァァァァッッ!?」
……ちょっと落とす位置が高すぎたようだ。
「ま、真人……」
「……ん、理樹か。おはよう。丁度今な……」
真人がお腹の上のダンベルを不思議そうに持ち上げた。
「ま、まさかこのダンベルは……!?」
「あ、あ~真人。これには理由が……」
「神のダンベルじゃねえか!!」
「……はァッ!?」
「夢の中でなんだけどよ、俺は筋トレをしてたんだ」
この人は夢の中でまで筋トレをしてるのか。
「そしたら、ダンベルが手からスッポ抜けて、丘の下まで転がっていった」
「俺は全力で追いかけたが、大リーグ養成ギブスを装着してたせいで追いつけなくてな。そのままダンベルは池に落ちちまった」
「するとどうだ! 池から神が現れた!!」
「神は……両手にダンベルを持っていた……。そして俺に言うんだ」
『オマエが落としたのは右の10キロのダンベルか? それとも左の5キロのダンベルか?』
「もちろん俺は言ってやったさ……『右に決まってるだろ』とな」
「そしたら『フォッフォッフォ。5キロを選ぶとは謙虚なヤツじゃわい。ん? オマエから見て右じゃよ』と神の野郎言いやがったんだ!」
「半分になっちまったーーーッ!!」
「そこで俺は絶叫して起きたんだ……」
……僕がダンベルを落とした衝撃で起きたんじゃないんだ……。
「まさかタダでダンベルが手に入るなんてな」
「神も粋なことをしてくれるぜ!! ひゃっほーーー!」
元から自分のダンベルなんだけど、大喜びに水を差すのも悪いし…このままにしておこう。
真人にさっきの恭介からの電話を説明して、食堂に大急ぎで向かった。