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花ざかりの理樹たちへ その18 ~学校・午前中編~(リトルバスターズ)
作者:m

紹介メッセージ:
 恭介の思いつきで始まった王様ゲームにより、理樹は……。各編はほぼ独立していますので、途中からでもお楽しみ頂けます。



――授業(ほとんど自由時間だったけど)が終わり、休み時間になった。



「――で、恭介氏はどうした?」

「あ、僕もそれが気になってた」

「なんでも、今まで読みたかったマンガ本がようやく借りられたらしい」

「今頃は教室で読みふけってると思うぞ」

うわっ、自分から王様ゲームを振っておいてそれなんて…恭介らしい。

「あの馬鹿兄貴、かわいくなった理樹が見たくないのか?」

鈴は僕のことを早く恭介に見せてあげたいらしい。

「恐らく期待していないのであろう」

謙吾はどうやらあまり、恭介と僕を合わせたくないようだ……。

期待されてないと言われると……なんか悔しいな。

「いや、恭介氏が自ら会いに来ないのは…こちらとしては好都合だ」

「あ、姉御まさかっ!?」

「うむ、こちらから恭介氏を攻め――落とす」

来ヶ谷さんはビッと立てた親指を下に向ける。

「わふーっ! みっしょん・いんぽっしぶるなのですっ」

「……恭介さんとなると、井ノ原さんや宮沢さんのように簡単にはいきそうにないですね」

――確かに、策を練れば練るほど恭介は裏を突いてきそうだ。

「俺は落とされたんじゃない、落ちたんだ!」

「謙吾、誰も聞いてないよ……」

どうでもいい謙吾の言い訳をみんなスルーしていた。

「ふむ…そうだな」

「恭介氏相手なら策を練るより…あえてシンプルな策でいったほうが良策だろう」

「くるがや、作戦はあるのか?」

鈴も興味津々だ。

「恭介氏に効きそうな作戦が一つだけある」

「作戦名は――」



「うわーん遅刻遅刻ー! 私の名前は直枝理樹、パパの仕事の関係で今日から新天地に移り住むことになったの」

「けど私には一つだけ秘密があるの。それは見た目は美少女だけど、本当は男の子だってこと」

「新しいクラスのみんなにバレないように生活できるかしら」

「たしかあの角を曲がって真っ直ぐ行けば学校よね、あーん神様ー初日から遅刻は避けれますようにっ」

「角を曲がると――どっすん☆」

「いたたた……。痛ぇーーーっ、おまえどこ見て走ってんだよ!? あんたこそどこ見て走ってるのよ!?」

「なんなのよアイツ!? 謝りもしないで! ホント頭きちゃう、って遅刻しちゃうーーーっ」

「今日からこのクラスの一員になる直枝理樹ちゃんだーみんな仲良くするようにー」

「あああぁぁぁーーー!? おまえはっ!? あんたは今朝の無礼者っ!?」

「そしてなんやかんやでゴールイン」



「――作戦だ」

「え、ええええぇぇぇぇーーーっ!? 今の全部作戦名なのっ!?」

「無論だ」

「何か質問がある奴はいるか?」

「……鈴さんの髪って、綺麗ですね」

「う、うっさい…はずかしい」

「ほれーほれーほれークド公~」

「わ、わふー……目がまわりますぅ~」

「理樹、ちょっとだけでいい。手をつながないか?」

――誰も聞いてなかった!!

「はいっ」

あ、小毬さんが手を挙げてる。

「うむ、なんだ小毬君」

「その『うわーん遅刻遅刻ー!……」



――1分後――



「……ゴールイン』作戦はぁ……」

「途中一箇所違ったから言い直しだ」

判定きびしいっ!

「うわあああああんっ! 長すぎておぼえてないーーーっ」

小毬さん、覚えようとするなんてまじめ過ぎるよ……。

「うむ、少々長すぎたか……」

「ならば略して『棗兄作戦』としよう」

「うんっ、それならわかりやすいね~」

「とてもわかりやすいのですっ」

小毬さんとクドは納得してるけど。

「さっきの作戦名に一字たりとも含まれてないよっ!」

「なんだ美少女、ちょっとくらい可愛いからといって我がままだぞ」

「おっとー、理樹ちゃんが性悪アイドルと化してしまったーっ」

酷い言われようだ……。



「まあ作戦名は置いておいて、作戦自体は至極簡単だ」

「私がまず恭介氏をさり気なくおびき出す」

「そして私の合図で理樹君が廊下の角から飛び出し、恭介氏とぶつかり運命的な出会いを果すのだ」

いや、それはちょっとベタ過ぎな気がする……。

「なるほどな。マンガを読み込んでいる恭介なら、そこから勝手に先の展開を妄想するだろうな」

謙吾がうんうんと納得している。

「……私達は切っ掛けを与えるだけで、あとは恭介さんが自らステレオタイプのストーリーに堕ちていくのですね」

「『策士、策に溺れる』というワケなのですねーっ」

「たしかにきょーすけは、そーいうベタなのに弱いな」



「今回は、無線機はつけてもらうが…私達からの指示はなしだ」

「え、ええっ!?」

「恭介氏の動きをよく読んで、キミが臨機応変に対応するんだ」

来ヶ谷さんに肩をポンッと叩かれる。

「今までの経験を活かせ」

……今までの経験って言われてもなぁ。

――けど。

あの恭介相手にどこまで出来るかわからないけど……。

「うん、やってみるよ」

「うむ、いい返事だ」

「ついにきょーすけをこえる日がきたな」

「理樹ちゃんがんばれ~」

「リキならきっとできますっ」

「理樹ちゃんファイトー」

「……棗×直枝いえ、直枝×棗でしょうか…ついに夢のカードが実現……ぽっ」

「理樹、頑張らなくていいからな」

――みんなの応援で(後半は違う気がするけど)もしかしたら出来るかも、という気が湧いてきた。



「では、理樹君…これをくわえてくれたまえ」

――来ヶ谷さんが後ろからゴソゴソと何かを取り出し、僕に手渡した。

「ト、トースト……?」

「こんなこともあろうかと用意しといた。無論焼きたてだ」

……いつの間に、とかツッコむのはやめておこう……。



――はむっ

とりあえずトーストをくわえてみた。



「……あぁ、異様に萌える……」

来ヶ谷さんが恍惚とした表情で萌えていた。

「……あぁ、萌える……」

謙吾まで恍惚とした表情で萌えていた……。