前回<花ざかりの理樹たちへリスト>次回
――ドサッ!
僕はベッドに崩れ落ちた。
「理樹君、すべすべ~」
「どこからどう見ても女の子の足ですっ」
……ああ、もうツッコむ気力も無い。
「はっはっは、小毬君にクドリャフカ君よくやった」
「顔が真っ赤だぞ。……あたしが強く締めすぎたか?」
「鈴ちゃん違うよー、理樹くんはみんなにコーフンしちゃって顔がまっかっかなワケですヨ」
「……両手両足・首にまで花……大興奮間違いなし」
「理樹、興奮したのか?」
……真顔でそんなんことを聞かれても困る……。
「理樹君、女性のベッドに下着姿で寝転ぶとはどういう了見だ?」
「来ヶ谷さんが脱がしたんでしょっ」
「まあ、細かいことは気にするな」
――言ってることが恭介と似てきた気がする。
「これくらいで疲れてもらっては困るぞ」
「姉御ー、次は何をしましょ?」
みんな目がキラキラと輝いている。
……来ヶ谷さんが6人いるような気分だ。
「――次は制服だな」
ようやく下着姿から開放される……。
「……と、制服を着てもらう前に」
来ヶ谷さんはタンスの引き出しをゴソゴソしている。
「これを装着してもらおう」
「来ヶ谷、それはなんだ?」
「うむ、鈴君よくぞ聞いてくれた」
「――私は前回理樹君で遊んで、こう思ったんだ」
「――何かが足りない……。それは一体なんだ? この違和感は何なんだ――とな」
「一昼夜考え、そこで気づいた」
「――そうだ、おっぱいだ! 私の制服を着ているくせにおっぱいがない! フニフニと出来ないではないか!」
「そこでだ」
「こんなこともあろうかと、豊胸パッドを用意しておいたのだ」
――パチパチパチパチーーーッ!!――
全員から拍手が巻き起こった。
「姉御ー! 感動ーーッス!」
「ゆいちゃん、準備ばつぐん~」
「わふー! 本格的ですっ」
「……新生、直枝」
「理樹、ぼいんぼいんになれるな」
みんな、思い思いに感動の言葉を告げている。
「これは触り心地も本物と区別がつかないような業物だ」
――来ヶ谷さんは手の内でパッドを弄んでいる。
「私にもそのパッドを触らせてくださいっ」
クドが羨ましそうに、来ヶ谷さんの持っているパッドを見ている。
「待ちたまえ、それは理樹君に制服まで来てもらってからのお楽しみとしよう」
「クーちゃん、おあずけだって――ざんねん」
……小毬さんも触りたかったみたいだ。
「うむ、ブラジャーは私のでいいな」
来ヶ谷さんはタンスから黄色のブラジャーを取り出した。
そ、そんないきなり目の前にブラジャーを出されてもっ
「ん? ブラジャーを見ただけで赤くなるなんて可愛いヤツめ」
「理樹くんテレてるー! ウブだねウブ」
う……。目の前で来ヶ谷さんと葉留佳さんがニヤニヤしている。
「おねーさんがブラジャーを着けてやろう」
――ごそごそ――
――ぐいっぐいっ――
――カショッ――
「よし、出来たぞ」
「……ふえぇぇ……」
「……わふー……」
「……男……辞めますか?」
「女の子っぽいぞ、理樹」
「……おーすごい、一気に女の子だね……」
……口々に驚嘆の言葉を言ってるけど……。
「うあああああーーーーーっ!!」
「なんかものすごい苦悩が見て取れるねぇ」
「はっはっは、恥ずかしいみたいだから早く制服を着せないとな」
――完全に僕で遊んでるよ、この人。
「安心しろ、スカートの丈も短くしてある」
いや、そこは全然ポイントじゃないと思う。
「靴下は……」
「はいはいはいっ! ニーソックスなんてどうでしょー?」
「せっかく無駄毛処理までしてツルツルになったのだ。もう少し攻めてもいいと思うぞ」
一体何を攻めるんだ。
「……ここは足も程ほどに見せつつ、男心をくすぐる紺のハイソックスはどうですか?」
「うむ、それでいこう」
……みんな僕を着せ替え人形だと思ってるんじゃないだろうか……。
――ごそごそ――
――くいっくいっ――
――ごそごそ――
――くいっっくいっ――
――がさがさごそごそ――
「――き、着たよ」
…………
「一回転してみてくれ」
「う、うん」
くるりと一回転した。
スカートがふわりと舞う。
「…………」
みんなが静まり返っている。
「わふー……」
「……これはもう男だと思わないですネ……」
「ここまで女らしいと私でも引くぞ」
ああ、恭介、真人、謙吾……もう会えないかもしれない……。
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