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「さて、理樹君に制服を着込んでもらったことだ」
「先ほどの豊胸パッドの感触を感じたい者は手を挙げてくれ」
――ビシッ、バシッ、ズビシッ――
って、全員なんだ!?
「ふむ、学校までの時間を考えると…全員が触るのは難しいな」
「仕方が無い。じゃんけんだな」
「じゃんけんで一番勝った者が触るとしよう」
「「「「じゃーん、けーん」」」」
なにやら先ほどと同じくらい、みんな気合いが入っている気がする……。
「「「「ぽーーーんっ」」」」
…………
「やったーっ!! 勝ったよ~」
――小毬さんが大喜びしている。
「わふー……ざんねんです」
「……学校でいくらでも揉めますよ」
「小毬君、みんなを代表して理樹君の胸を揉んでくれ」
来ヶ谷さん、表現がもはやパッドじゃないし。
「じゃ、じゃー、神北小毬いきまーす」
「…………」
「…………」
な、なにかすごく緊張しているようだ。
「……どきどき」
「…………」
「さ、さわるよー」
「う、うん」
小毬さんは恐る恐る片手を伸ばす。
ぼ、僕まで緊張してきた……。
「……むむっ……」
――ちょんっ
「ひゃあああぁーーー!?」
顔を真っ赤にして小毬さんは手を引っ込めた。
……たぶん僕も今真っ赤だ。
「こまりちゃん、どうだ?」
「うえーん、ちょっと過ぎてわかんなかったよー……」
「わふー……どきどき」
「……エロいな」
「……エロいッスね」
「……どうでもいいのですが、今の神北さんと直枝さんの背景には百合の花が似合うと思います」
「よ、よおーっし、も一回やってみるよ」
「理樹君」
「は、ハいッ」
来ヶ谷さんの呼びかけに、ついつい声が裏返る。
「小毬君が触りやすいように、両手を後ろのほうに着くんだ」
「小毬君」
「は、はイっー」
……小毬さんまで声が裏返ってる。
「片手で恐る恐るゆっくり触ろうとするから緊張するのだろう」
「一気に両手でいけば、恥ずかしくもなんとも無い」
「う、うんっ」
「よおーっし」
「理樹君、いくよ」
「う、うん」
僕は来ヶ谷さんに言われたとおり、腕を後ろのほうについて、小毬さんが来るのを待つ。
……このポーズ、ムチャクチャ恥ずかしいんだけど……。
「――おんどりゃー!」
意を決して、小毬さんが一気に両手を突き出す!
――ふにふにっ――
「……」
みんなが固唾を飲んで見つめる。
「わあっ、ほんとに本物みたいだよ~」
――ふに~ふに~――
……そ、そんなに両手で鷲掴みされても困るんだけど。
「やわらか~いっ」
――ぐいんぐいんっ――
う、うわわ!! 小毬さんには悪気はないんだろうけど……
恥ずかしすぎるっ!
「…………」
――みんなが顔を上気させてこちらを見つめている!
「ク…クド公は見ちゃダメ」
「わ、わふー!?」
葉留佳さんはクドの顔を手で覆っている。
「…………かしゃり」
西園さんはデジカメを構えている。
「……おいしいところをいただきました」
顔が真っ赤だ。
「……り、理樹、みてるだけでどきどきするぞ」
鈴まで顔を赤くしてこっちを見ている。
「だ、誰か小毬君を止めてくれ……」
「あ、姉御!? どうしたんですかっ!?」
「お、おねーさんには刺激が強すぎたようだ……」
――来ヶ谷さんが悶絶している!
「ふええ? みんなどうしたの?」
……小毬さんだけ、よくわかっていなかった。
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