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花ざかりの理樹たちへ その17 ~学校・午前中編~ (リトルバスターズ)
作者:m (http://milk0824.sakura.ne.jp/doukana)

紹介メッセージ:
 恭介の思いつきで始まった王様ゲームにより、理樹は……。各編はほぼ独立していますので、途中からでもお楽しみ頂けます。

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――授業中。



…………。

ス、スカートってスースーしてて、落ち着かないな。

胸も人生初めてのブラジャーで締め付けられて、少し苦しい。

それに、パッドとはいえ……質にこだわっているためか、重い。



う…全然落ち着かないっ!



ガラスにうっすらと写っている自分を見る。

そこには可愛らしい少女がいる。

これが僕、なんだよね……。

…………。

僕だってこんなコに迫られたらと思うと――。

…………。

――どきどき。

ぐあ、自分で自分にときめいてしまった。

……湖面に映る自分を求め、その身を投じたナルシスさながらだ。

真人、謙吾、あんな事して本当にごめんよっ!

けど、あの二人だって今までずっと一緒だったんだから…ちょっとは気付いてくれてもいいのに。



そういえば、恭介…朝は来なかったなぁ。





そんなことを考えていると。

――じぃーーーっ!

横から熱烈な視線を感じる。

そちらに目をやると……

いつもは閉じっぱなしの教科書を広げ、それを見るフリをして…僕を横目で見ている鈍感な幼なじみがいた!

――じぃーーーっ!

き、気になるっ

僕が真人の方を向くと……。



――サササッ!

あ、顔を逸らした。



僕が前を見て、しばらくすると……

――じぃーーーっ!

う、うーん。

真人の方を見る。

――サササッ!

コンマ数秒の速さで、真人は逆のほうに顔を向ける。

き、機敏だ……。



僕はまた前を見る。

……。

――じぃーーーっ!

うわ、真人…いつもの男らしさがないよっ

僕は真人の方に、出来る限りの速さで振り向いた!

――サササッ!

は、はやい……。

そのまま真人を凝視してみた。

…………。

真人の首に汗が伝っている。

…………。

…………。

「――ピョヒョ~♪ ピョロピョヒョョ~♪」

う、うわっ!! 口笛で誤魔化してるっ!

ベタだ、ベタすぎるよ真人……。

……って、今授業中だよ!?

「……井ノ原ー、授業中に口笛を吹いちゃダメなんだぞー」

案の定、先生に怒られた。

「す、すまねぇ先生…オレの口に、口笛があまりに上手だったために宇宙人に虐殺された関西人の霊魂が宿っちまったんだ」

「そうかーその口笛の腕前じゃ仕方ないなー」

「いいってことよ」

先生も真人のメチャクチャな言い訳には慣れたものだった……。

最近では、下手の先生に対して真人も上目線だ。

『楽しそうなことをしているじゃないか。おねーさんも混ぜろ』

――ビクッ!

……来ヶ谷さんが無線で話しかけてきた。

来ヶ谷さんのほうを見ると、教科書と長い髪で携帯電話を隠し、先生の話す時に合わせてバレないようにしている。

き、器用だ……。

「……ま、真人がこっちをじーっと見つめてくるんだ……」

僕も真人と逆方向を向き、コソコソと答える。

『なるほど、真人少年には少々刺激が強すぎたようだな』

『ふむ、今現在もキミのことを乙女のような恍惚とした表情で見つめているぞ』

……う、うわぁ。

真人の方を振り返ってみる。

――サササッ!

相変わらず速い……。

『よし、私がタイミングを合わせてやろう』

『合図したら真人少年の方を向け。ニヤついた彼の顔が拝めるぞ』

見たいような、見たくないような……。

『今だ』

――サッ!!

真人はボーっとしていたのか、顔を逸らせずに僕と目線が鉢合せした。

「…………うおっ!」

ほややんとしていた顔が固まった!

「…………」

今まで仕返しに見つめ続ける。

「…………」

真人の顔がどんどん紅色していく……!

効果音をつけるとしたら、汽笛の「ポーーーッ!」という音だろう。



真人の顔が耳まで真っ赤になったとき――

「うぉおおぉーーーっ!! 勉強なんてしてられっかあああぁぁぁーーーっ!!」

真人は教科書を破り捨て、机をフッ飛ばしそうな勢いで立ち上がり、教室をすごい勢いで飛び出していってしまった!!



さすがにこの行動には、クラスメイトも教師も目を丸くして唖然としていたが……

「いっ、井ノ原ー!? おまえは勉強しないと色々とマズいだろ!? アレか、霊魂か!? 先生アレ信じてる! 本当だ口笛も最高に上手かったぞー……!」

先生も真人を追って教室を飛び出していった……。





先生もいなくなってしまい、クラスは自動的に自由時間となってしまっている。



まさか、目が合っただけでこうなるとは思わなかった……。

「いやいや、実に面白い」

来ヶ谷さんが嬉しそうに寄ってきた。

「真人が…いつも以上に変になっちゃったよ」

……友の変わりっぷりになんだか悲しくなってきた。

「真人はどうかしたのか?」

「きっとおトイレにだーっしゅだよ~」

「あれが授業中におそってきたと思うと……とてもおそろしいのですっ」

真人の恋の相談役は全員、全く頼りなかった!

「……井ノ原さんはもう、直枝さんのもの……」

「……やっぱり全然、全く、これっぽちも美しくありません」

西園さんは真人に恨みでもあるのだろうか。

「――ところでだ、理樹」

「どうしたの、謙吾――……」

「…………」

「…………」

「……あ」

……目の前には、まるで宇宙人と遭遇しちゃったような…驚きを超越した不可思議な顔をした謙吾が硬直していた!!

「なっ……なっ……」

謙吾は口をパクパクしているが声が出ていない!

「ご、ごめん謙吾! 隠しておく気はなかったんだ」

「ぬぬぬぬっ……」

謙吾は硬直してしまって、さながら金剛力士像を見ているようだ。

「ほ、ほら、深呼吸深呼吸! はい、吸ってー吐いてー」

それに合わせて、謙吾が深呼吸を始める。



「――ふぅ……」

「落ち着いた?」

「ああ……。理樹の席に座ってるし、来ヶ谷達と話しているからもしやと思ったんだが……」

謙吾は顔を少し赤くしながら僕をのぞき込む。

「…………」

「どうだ謙吾少年、今の理樹君を見た感想は?」

「どこからどう見ても女だな……」

謙吾が「うわぁー」という顔で僕を見ている。

「理樹がここまで変貌するとは」

「とてもかわ……」

「…かわ?」

小毬さんが小首をかしげる。

「……川中島の戦い」

謙吾はそれっぽく誤魔化した!

「ふ、ふえぇ?」

「きっと宮沢さんは、リキをめぐる戦いが繰り広げられるのではないかと危惧するほどカワイイと言いたいのですっ」

「ああ、そうだ……って誤魔化した意味がぁーーーっ!?」

自分で誤魔化したって言っちゃってるし……。

「謙吾」

「ど、どうした鈴?」

「さっきのダッシュはすごかったぞ」

「うんっ! 謙吾君の顔、しあわせいっぱいだったよー」

「…………」

「ぬおおおおおぉぉぉぉぉーーーっ!!」

謙吾は恥ずかしさのあまり悶絶しているっ!

「……直枝さんをしっかりと包み込む宮沢さん……ぽっ」

「ぐあああああぁぁぁぁーーーーっ!!」

「私もリキに迫られたいです……」

「だああああああぁぁぁぁぁーーーーっ!!」

もはや謙吾は恥ずかしさのあまり、のた打ち回っているっ!

「まあ落ち着くんだ謙吾少年」

来ヶ谷さんが謙吾の肩をポムポムと叩く。

「――あ、ああ、そうだな……」

謙吾がなんとか落ち着きを取り戻した。

「たかが、幼なじみ…しかも男に欲情してしまっただけではないか」

「ぐわァあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあーーーーーーっ!!」

なだめておいてから、一気に叩き落したっ!

「謙吾はホモだっ」

鈴がビシッと追い討ちする!

「ぬおおおおぉぉぉーーーっ!? 鈴、違っ……」

「……宮沢さんならホモも良いと思います」

さり気に西園さんが畳み掛ける!

「ま、待て西園!? それは……」

「フッ…この同性愛者め」

来ヶ谷さんの直球!

「く、来ヶ谷おまえ――」

「わふーっ! 外国風に言うと、ゲイ、なのですーっ」

クドが嬉しそうに、さらに重めの言葉にして謙吾に返した!

しかも、今の『ゲイ』の発音はネイティブっぽかった!!

「ぐはぁあぁあぁあーーーっ!?」

もう謙吾の精神は限界値だっ!

「えっとね、謙吾君」

小毬さんがにっこりと謙吾を見つめている。

「か、神北……やっぱりおまえだけは――」

「ほも」

『わ、言っちゃったよ~』的な顔で謙吾に無常なトドメを突き刺した!!

「ぐっはああああぁぁぁーーー…………」

謙吾が真っ白に燃え尽き、倒れそうになる!

「け、謙吾っ!?」

――バッ!

僕は倒れそうになった謙吾を咄嗟(とっさ)に支えた。

「り……理樹……」

「だ、大丈夫?」

……なんか僕を見る目が怪しい。

「…………」

謙吾は僕をじっと見つめてから――

「俺はホモで結構だあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあーーーーーーっ!!」

うわーーーっ!? どうでもいいところだけ男らしいーーーっ!!

「理樹、好きだぁあぁあぁあぁーーーっ!!」

「うわわわわわーーーっ!? 僕は絶対イヤだよーーーっ!!」

「照れるなよっ」

「照れてないよっ!!」

「よし、お姫様だっこしてやろう」

「理樹によるなっ、へんたいっ」

そんなやりとりをしているとき。



――ぶはあぁーーーっ!

「ひゃあああああーーーっ!? みおちゃーーーんっ!?」



……西園さんが、嬉しそうな表情で、鼻血をアーチ状に噴射しながら倒れ行くさまが皆の目を奪っていた。


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