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花ざかりの理樹たちへ その30 ~学校・午後編~ (リトルバスターズ)
作者:m (http://milk0824.sakura.ne.jp/doukana)

紹介メッセージ:
 恭介の思いつきで始まった王様ゲームにより、理樹は……。各編はほぼ独立していますので、途中からでもお楽しみ頂けます。

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「――ふぅ、たっぷり食ったな」

あれだけあった食べ物も、ワイワイと食べているうちに無くなってしまっていた。

「も、もう食えねぇ……」

「俺の勝…ち…うぷっ…」

僕が貰った食べ物のほとんどは、真人と謙吾のあーん勝負に費やされたワケだけど。

「またみんなで食べたいな」

「そうだね~」

鈴と小毬さんは満足そう。

「リキ、次も新しいれしぴに挑戦しようと思うので、是非食べてくださいっ」

「うん、ありがとう」

クドは料理上手だから、次も楽しみだな。

「……私もひとつ、直枝さんに何か作ってきましょう」

「えーじゃあ、私も理樹ちゃんにお弁当作ってくるねー」

「う…うん、ありがとう」

西園さんと葉留佳さんの気持ちはうれしいけど…そんなに食べれるかどうか…。

「ふむ、食欲も満たされたし…理樹君、私とイチャイチャするか」

「うん」

来ヶ谷さんも食欲が満たされたから、別の欲求を満たしたくなっちゃったようだ。

…………。

「って、えええええええぇぇぇーーーっ!?」

あまりに自然に振ってくるものだから、ついつい頷いちゃったよ!?

「ほう…まさか快諾してくれるとは思わなかったぞ」

「ご褒美と言っては何だが、おねーさんがモミモミをしてやろう」

この人は自分に素直すぎだった!!

「はっはっは、同意も得られたんだ。その辺の草むらに移動するとしよう」

「いやいやいや!」

「なんだ、おねーさんがちゃんとリードするから大丈夫だ」

「その行動がちっとも大丈夫じゃないからっ!」

「――おっと、待ちな来ヶ谷」

僕の手を引き、どこかに連れて行こうとする来ヶ谷さんの前に真人が立ち塞がった!

「理樹とオレを引き離そうとは、とうとうこのオレの逆鱗に触れちまったようだな……」

怒るところが何か違う気もするけど…助かった。

「ほう、キミの逆鱗に触れたらどうなると言うのだ?」

真人はカッと目を見開いた!

「後悔させてやるよ!! “触らぬカミに抜け毛なし”という言葉の意味を叩き込んでやるぜ!!」

…………。

また間違ったことわざを覚えていた!!

「――真人、それを言うなら“触らぬ神に祟りなし”だよ…」

取りあえずツッコんでおこう。

「うわぁ…真人くん、自ら頭の弱さを露呈してしまいましたネ」

葉留佳さんの辛口コメントが炸裂。

「意味は、関りを持たなければ災いを受けることはない、余計な手出しはしないほうが良いという例えだ」

「叩き込んでおけ」

来ヶ谷さんも呆れたように言い放った。

「うおおおおぉおぉおぉおぉおぉおーーーっ!? 言って後悔した上に意味を叩き込まれたぁぁぁーーーっ!?」

――ぶちぶちぶちぶちぶちっ…!

「うわぁ、禿げるよっ真人!」

「わかったわかった…二人とも落ち着けって」

恭介が来ヶ谷さんと真人の間に割って入った。



「そうだな……」

フム、と考え込む恭介。

「――おっと…いいことを思いついちまったぜ」



――ポムッ



恭介が僕の後ろに立ち、両肩に手を置いた。

「これから――」

「『昼休みどっきりデート! ~こんなカワイ子ちゃんを独り占めしてもいいのかよ!?~』」

「――を開催しようと思う」

みんなから「おおお~っ」という歓声と共に、拍手が巻き起こった!

「…………」

「まさか、その“カワイ子ちゃん”って……僕ーーーっ!?」

「今さら何を言ってるんだ、理樹」

当然といった顔をして、僕の頭に手を乗せる恭介。

「残りの昼休み、理樹とデートしたい奴は挙手してくれ」



――シャキッバシッズビシーッ

みんながみんな、それはそれは見惚れるほどシャキッとした挙手をしていた!



「ヒュ~! 理樹、モテモテじゃないか」

ニヤニヤしながら肩を小突いてくる恭介。

「女の子どーし、仲良くお菓子デートをしましょ~」

来ヶ谷さんと打って変って、小毬さんは純真だ!

「……そんな…さすがにそんなことは…けど少しなら……ぽ」

西園さんは既に妄想世界へと旅行に向かったようだ…。

「オレは『理樹から2m以上離れると死んじまう病』を発症しているから、ここはオレに譲ってくれ、たのむっ」

突然むちゃくちゃなことを言い出した真人。

「そ、それは大事(おおごと)なのですっ!? リキ、井ノ原さんとデートしてくださいっ」

クドは信じて焦っちゃってるし!

「ちょっといいか?」

謙吾はいつになく真剣な表情を浮かべている。

「言い忘れていたが、俺は理樹から1m以上離れると……」

「は、離れると……?」

謙吾の言葉にクドが息を呑む。

「――爆発する」

「わ、わふーっ!? こ、このままでは宮沢さんが木っ端微塵になってしまいますっ!?」

「ど、どうしたらいいのでしょうかっ!?」

「うおおぉぉーっ苦しいっ! 症状が『理樹から50cm以上離れると死んじまう病』に悪化しちまった!」

「俺はすでにカウントダウンが…10…9…8…うわぁあぁあ、俺が爆発したら学食ごと吹き飛ぶぞ!?」

「わ、わふーーーっ!? これは一大事なのですっ!?」

真人と謙吾が訳が分からないことを言いながら、僕に身を寄せてくるっ!

「う、うわわっ!?」

「――なら、さっさと死ねっ!」



――ズバキィィィッ!!



「「ぐはあああああぁぁぁぁぁぁぁーーーっ!!」」

……アホなことを言っていた二人組が鈴のハイキックで華麗に宙を舞った……。

「理樹は――」

「あたしが守る」

ビシッとポーズを決める鈴。

「わふー……リキからかなり離れましたけど、お二人ともご健在なのです…」

いやまあ…そもそも嘘を信じてたのはクドだけだけど。

「ったく、がめつい奴らだな」

「時間も惜しいし、ここはじゃんけんで公平に理樹とのデート権を決めよう」

「文句言いっこ無しだからな! みんなそれでいいなっ!?」

みんな「おーーーっ!」と気合い十分だ!

「理樹もそれでいいな?」

「もうどうだっていいです」

もうやけくそだった。



「よし、準備はいいな!」

メンバー全員がコクリと頷く。

みんなから「ここは譲れない」オーラが滲(にじ)んでいる!

「「フノオオオオオオォォォーーーッ!」」

真人と謙吾からは今にも炎が噴出しそうだ!

「「「「じゃ~~ん、け~~~ん」」」」

「「「「ポイーーーーッ!!!!」」」」

一斉に手が出される!

パー!

パー!

パー!

パー!

パー!

見事にみんなパーだ!

パー!

パー!

パー!

パー!

……チョキ!!

よくよく見ると一人だけチョキがいるっ!

全員の目が勝者に向けられた!

「…………」

「学食で一体何を大騒ぎしてらっしゃいますの?」

そこにはチョキを出している笹瀬川さんが立っていた!

「「「「……………………」」」」

「あ、あら…話しかけても誰一人としてわたくしのことに気付いてくださらなので、割って入ったのですが」

「ご迷惑だったかしら?」

もちろん、みんな「えええっ!?」という顔をしている。

「…………………………」

真人と謙吾は、じゃんけんの手を出した瞬間で完全に時を止めていた! 瞬きひとつしていない!

「ふ、ふえぇ…さーちゃん、何かご用事?」

最初に動いたのは小毬さんだった。

「きょ、今日は……宮沢さんではなく、あ、あの……その子に……」

チラリと僕に目を向ける。

「?」

僕は小首を傾(かし)げた。

謙吾もいるのに……僕?

「――はわっ!」

ちょっと目があっただけなのに、驚いたように顔を背けた。

顔を背けた先で、鈴と視線がかち合う。

「――ッ」

「鳥のムネ肉っ!」

「さ・さ・みですわっ!! ケンカ売ってるんですのっ!?」

「ケンカを売ったのはおまえのほうだろ」

「先にケンカを売ってきたのはそちらですわっ!」

「このわたくしが、勇気を出して一生懸命話しかけたというのに…誰ひとり気付いてくれないなんてっ……むっきーっ!」

気付いてもらえず、仲間に入れてもらえなかったことにジェラシーだったらしい…。

ふ、不憫だ…。

「……恭介氏、質問をしてもいいか?」

「あ、ああ」

きっと来ヶ谷さんが質問したいことと、みんなが思っていることは一緒だ。

「これは…アリなのか?」

「最初に言ったろ、文句は言いっこなしだって」

「世の中何が起こるか分からないという訓戒、そういった意味で大いにアリだ」

「え、じゃあ僕は……」

笹瀬川さんに目を向ける。

「え? な、なななんですのっ?」

さ、笹瀬川さんとデートっ!?

「きょ、恭介……仕切りなおし、ではないのか……?」

さっきまで、時間ごと停止していた謙吾が口を開いた。

「文句言いっこなしって何回言わせるんだよ。女々しい男は嫌われちまうぜ」

クールに無常な言葉を言い放った!

「ふのおおおおーーーっ! 俺は女々しいのかーーーっ!?」



――ダダダダダダダダダダーーーッ!



あ、謙吾が半泣きで走って行っちゃった…。

「あ…! 宮沢様っ」

笹瀬川さんは、一瞬謙吾の後を追おうとするが、僕のほうを見てオタオタとしている。

「……昔から好きだった人と、今日突然自分の心を盗んだ人……二人の人の合間で揺れる乙女の心」

「うひょーっ! やりますナやりますナ」

葉留佳さんが興奮気味に背中を叩いてくる。

「うむ、女心とは得てして複雑怪奇…一方向だけを向いているとは限らない。その辺、覚えておくのだな」

来ヶ谷さんがニヤニヤしながら、僕の肩を叩いてくる。

「さーちゃん、もしかして……一目ぼれ?」

「わふー…愛を前に、時間は意味を成さないってことですかーっ!?」

「……笹瀬川さんは、直枝さんの正体を知らないのですから……百合の花……ぽ」

う…まさか、笹瀬川さんって謙吾だけじゃなく…僕も!?



「じゃんけん勝者の笹瀬川、いいか?」

「棗さん…いったい何の騒ぎでしたの?」

――ポンッ

「わわっ」

恭介は僕を笹瀬川さんのほうに押し出した。

「笹瀬川はこいつに用があったんだろ?」

「え、ええ…そうですけど」

「――なら残りの昼休み、こいつとデートをしないか?」

「…………」

「……あの……いやなら別に……」

「んんんんんんななななななななななななぁんですってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーっ!!?」



それは、後世に語り継がれそうなほどの大大大絶叫だった……。


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