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花ざかりの理樹たちへ その84 ~買い物編~ (リトルバスターズ)
作者:m (http://milk0824.sakura.ne.jp/doukana)

紹介メッセージ:
 恭介の思いつきで始まった王様ゲームにより、理樹は……。各編はほぼ独立していますので、途中からでもお楽しみ頂けます。

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 今、僕の前方には色取り取りの下着が並んでいる。

 

 そう、ここはデパートのランジェリーショップの前。

 僕は佳奈多さんに連れられてここに来ることに……謙吾と。

 ちなみにここにいるメンバーは僕と謙吾、佳奈多さんに来ヶ谷さん、小毬さんにクドだ。

 

 僕たち、絶対場違いだよね…。

 ここは佳奈多さんには悪いけど、僕たちは別行動で――。

 


「理樹君から下着売り場に足を向けるとはな…ついにキミも自覚したというわけか」

「よし、おねーさんがキミのために際どいヤツを選んでやろう」

「え!? いや、僕は佳奈多さんについて来ただけだから…じ――」


 じゃぁこれで、と背を向けようとしたんだけど。


「理樹ちゃんに似合う可愛らしいの選んであげるよ~」

「へっ!?」


 行動を先読みされていたのか僕の肩に来ヶ谷さんの手が回され、左手には小毬さんの手がっ!


「リキ、そんなに恥かしがることはありません」

「私も最初は恥かしかったですが、やはりレディたる者、下着にまで気を回さねばなりません」

「ですので、ぱんつコーナーへいざ行かんっ、なのですーっ」

「ちょ、ちょっと待って、僕はレディじゃないから遠慮しとくよっ!」

「まあまあ、ご遠慮なさらずにー」

「えええーっ!」


 さらに後ろからクドが天使のような悪魔の笑顔で僕の背中を押してきているっ!


「つ、連れてきたのは私だし…その、選ぶのくらいは手伝うわ」


 なんで佳奈多さんはそんなに赤面してるのっ!?


「るるらら~♪」

「リキと一緒に買い物なんて幸せなのです~」

「いや、だから僕はっ」

「取って食われるわけでもないんだから、ビクビクしてないで行くわよ」

「まあ、場合によっては取って食うこともないこともないが」

「い、いーやいやいやっ」


 僕の足は無理矢理、だがゆっくりと確実にランジェリーショップに向かって歩かされている!

 このままだとランジェリーショップに連れ込まれちゃうっ……僕、男なのにっ!

 けど!

 いつもはこのまま流されてしまう僕だけど、今日は強い味方がいる!


「け、謙吾っ!」

「OK、理樹」

「謙吾……」


 やっぱり謙吾はわかってくれて――


「俺がおまえの下着を選べばいいのだな?」


 ないっ!!


「なんだ……?」


 謙吾の発言を聞いて、来ヶ谷さんがゆっくりとそちらを振り返った。


「まさかそこの剣道馬鹿までついて来る気なのか?」

「け、謙吾君も女の子用の下着買うのっ!?」

「わ、わふーっ!? み、宮沢さんが買われるのですかっ!?」

「「……ふるふるふる……」」


 見る間に青ざめていく小毬さんとクド。

 きっと二人とも頬を赤らめながら女性下着を装着している謙吾を想像をしたに違いない。


「まだ居たの宮沢、さっさと帰れば?」

「なにぃ?」


 さすが謙吾。

 あからさまに『空気読めよ』と言っている来ヶ谷さんと佳奈多さんの氷点下の目にも屈しない。


「確かに男が女物の下着コーナーに入ることは非常識かもしれん。素直に帰ったほうが良いかもな」

「そうね」

「――だが断る!」


   なぜか無駄に男らしかった!!


「そもそも理樹も男だろう…理樹が良くて俺が良くないという道理はないはずだが」


 そこで「あっ…!」みたいな顔をする佳奈多さん。

 もしかして僕が男だって忘れてたわけじゃないよね……?


「俺が入ってはいけないというなら理樹もまた然り」

「逆もまた然り」

「違うか?」


 勝ち誇った顔の謙吾の顔。


「……」


 佳奈多さんは理論的には正論だから言い返せないようだ。

 


「たしかに謙吾少年の意見は正論だな」

「ここで断ったらせっかくのチャンスを逃すことになりかねん」


 僕をチラリと見る来ヶ谷さん。


「謙吾少年の同行も許可するしかあるまい」

「さすが来ヶ谷だな、話がわかる」

「私とて鬼ではないさ」


 へぇ…。

 てっきり来ヶ谷さんのことだから『黙れブチ殺すぞこのファッキン小僧』くらい言って無理矢理追い返すのかと思った…。


「話がまとまったところで行くとしよう」

「行こう行こう~」

「…ふん」

「大人の女性的なのが欲しいのですー」


 

 こうして僕たちはランジェリーショップへと入ることになった。

 

 ――……って!!


「あの、ぼ、僕は遠慮したい――」

「黙れブチ殺すぞこのファッキン小娘」

「えええええぇぇぇぇーーーっ!!」


 

 

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