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花ざかりの理樹たちへ その104 ~夜突入編~ (リトルバスターズ)
作者:m (http://milk0824.sakura.ne.jp/doukana)

紹介メッセージ:
 恭介の思いつきで始まった王様ゲームにより、理樹は……。各編はほぼ独立していますので、途中からでもお楽しみ頂けます。

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「オーケー、俺はこの後の準備をする。お前らはいったん寮にでも戻っていてくれ」

ニカッと恭介が少年の笑みをこぼす。

「次もハードだから体力は温存しておけよ?」

それだけ言って片手を挙げると、恭介は校舎の方へと歩いて行った。

また新しい遊びを考えているみたいだ。



「では名残惜しいですが、ひっじょうに名残惜しいですが、わたくしは部活の後片づけがございますので行ってまいります」

「え、えーっと、なんで僕の手を握って言うのさ…」

「ふかーっ!! その手を放せっ」

僕の手を握る笹瀬川さんを引きはがすように鈴が割って入ってきた。

「何しやがりますの!」

「それはこっちのセリフじゃ!」

「またわたくしの邪魔を…………んま、まさか棗鈴っ!? あなたも――」

「みゃっ!? ちちちっ、違うわぼけーっ!!」

「あら、そうですの」



――にぎっ

笹瀬川さんがまた僕の手を取った。



「ふみゃーっ!?」

「すぐに合流いたします。それまでどうかお達者で」

髪を逆立てる鈴を尻目に、笹瀬川さんは手を振りながら(目は僕にしか向いていなかった…)校庭へと走り去っていった。

「理樹っ!」

「ど、どうしたの、鈴?」

「手をかせっ」



――にぎっ

鈴も僕の手を握ってきた。



「うん、よし」

……満足そうな顔で小毬さんの方へと戻って行った。

何がしたかったんだろう……。

「理樹君が『ウチってラノベの主人公もビビるくらいにモテモテでウヘヘなのん』と言ったところで」

「いやいやいやっ、僕一言もそんなこと言ってないからっ!」

「我々も一度寮に戻るとしよう」

「……賛成です。遊びまわって汗もかいたことですし、着替えをしたほうが良さそうです」

「それならみんなで私とさーちゃんの部屋に集まるってどうかな?」

にっこりとほほ笑む小毬さん。

「賛成です~っ」

「私、他の人の部屋に行くの初めてかも…」

飛び上がるクドと、照れくさそうにしている杉並さん。

「悪いけど、私はやりたいこともあるし一旦自分の部屋に戻るわ」

そういって髪を払うと、佳奈多さんは一足早く女子寮へと足を向けた。

「私は理樹ちゃんの化粧直しの道具を用意しなきゃですナ」

僕に向かって葉留佳さんがウインクを飛ばす。

「う…またやらなきゃダメなのかな…」

「リキ、良いですか? 女の子なのですから身だしなみに気を付けなければなりません。おじい様曰く大和撫子は――」

クドのお説教が続いている。

うん。

僕が男だということを完全に忘れてるよね、クド。

「んじゃ、準備してくるね~」

葉留佳さんは「お姉ちゃん、待ってよー」と先に行った佳奈多さんを追いかけて行った。

「ふむ、他のメンツは小毬君の部屋でいいな」

みんながワイワイと女子寮へ向けて歩いていく。

僕も真人と謙吾の後ろについて男子寮へ――



――ガシッ。



「どこへ行こうというのかね?」

腕を来ヶ谷さんに掴まれていた。

「部屋だけど?」

「キミも小毬君の部屋だろう?」

「え、えええええーっ!? いや、けど」

「――西園女史」

「……はい」

サササと寄ってきた西園さんが僕に鏡を向けた。



…………。

完全に女の子が映し出されていた。

そっか、僕は女の子――。



「うああああーっ!」

「……苦悩に歪む顔もまたそそられるものがあります……ぽ」

「ま、そういうわけだ。今のキミが男子寮に入ったらまた大騒動が起こるだろうよ」

午前中からの騒動が脳裏をよぎる。

ううう……来ヶ谷さんの言う通りかもしれない。

「わかったよ……」

「はっはっは、素直な子はおねえさん大好きだぞ。小毬君の部屋で百合百合しようではないか」

「しないよっ! はぁ…どんどん男子から離されていく気がするんだけど…」





***





――みんなから遅れて小毬さんの部屋に行くと。



「ささ、理樹ちゃん、早く入って入って~」

「あ、うん」

ドアを開けるなり、小毬さんに急かされるように背を押されて部屋に入った。

「では、みんなそろったところで」

小毬さんの目がキュピーンと光った!



「れっつ、ばすた~いむっ! 楽しいお風呂タイムの始まりです~っ」



そっか、お風呂か。

僕も汗をかいたし入りたいと…………………………。

「って!! ちょ、ちょっと待ってよっ!?」

「ちょっと待たない」

後ろから入ってきた来ヶ谷さんが、



――ガチャン。



後ろ手でドアの鍵を閉めた!

「いやけど、さ、さすがにお風呂は……」

「え……直枝君ってお風呂が嫌いな人だったの?」

杉並さんの純真な瞳が僕を捉えていた。

「そ、そういうわけじゃないけど」

「理樹ちゃん、あんなに汗をかいたんだからお風呂に入らないとダメです。むしろ女の子として間違っています」

小毬さん、間違ってるのは女の子の部分なんだけど…。

「入っていきなよ、ゆ~っ」

「そうでなのです、ゆ~っ」

うーん。

「そもそもこの前、クドの部屋でお風呂に入ったろ」

と、鈴。

う。

それを言われてしまうと返しようもない。

「……鈴さんの言う通りです。男らしくないですよ」

「そんなときだけ男扱いするし…。はぁ…うん、そうだね」

ため息をつきながら、西園さんが「…こちらへ」とぽむぽむ叩いたベッドサイドへと腰を下ろした。

「じゃあ、一番風呂は鈴君が行ってくるといい」

ちりん、と頷く鈴。

「私も鈴さんとご一緒します~っ」

「よきにはからえ」

「はいなのです~っ」

脱衣所に入っていくクドと鈴の背を戸が閉まるまで見つめていた。

「なんだ、理樹君も一緒に入りたかったのか?」

「ち、違うよっ!」

「……前は鈴、あんなに嫌がってたのに変わったなって」

「そうだね、鈴ちゃん、すんごく強くなった」

小毬さんもお姉さんのような瞳を向けていた。

「……感慨深いものがありますね」

西園さんも言葉に優しさが溢れている。

「ならば――」

来ヶ谷さんが立ち上がった。

「ダメだよ、ゆいちゃん」

「……ダメです」

「ダメだからね」

「なぜ私の行動がわかったのだ!?」

日頃の行いだと思う。



お風呂場からは――



『ん。……すんすん……すんすん……』

『どうしました、鈴さん?』

『小毬ちゃんの匂いと、さささ臭だっ!』

「うわぁーん、鈴ちゃん匂いかがないで~っ」

あ、小毬さんがお風呂場に駆けていった。

『ふえ? な~んだシャンプーか~』

『こっちが私のシャンプーで、こっちがさーちゃんのシャンプーだよ』

『あぶなかった、あやうく私までさささ臭になるところだった』

「ふぅー、ちょっとびっくりしちゃったよ~」

あ、戻ってきた。



『これ、小毬ちゃんのシャンプーハットか?』

『もしや笹瀬川さんの物という線も捨てきれませんっ』

『――クド』

『はい?』

『カッパ』

『あははははっ、とっても可愛らしいカッパさんなのです~っ。 私もやりたいですっ』

『ん』

『――鈴さん鈴さん、カッパ~』

『ちっともこわくないな』

『フフフ、そんなことを言ってると……カッパ攻撃でかっぱよ~』

『うわっ、そんなにくっつくなっ、ふみゃんっ、くす、くすぐるな~っ! こっちもお返しだっ」

『あはははっ、わき腹は、わき腹は反則なのです~っ』



「理樹君が急に静かになったな。もしや鈴君とクドリャフカ君が裸でくんずほぐれつしているエロい妄想でもしていたのではないか?」

「え!? そっ、そんなことは――」

真顔の来ヶ谷さん。けど。

「あ、鼻血でてるよ? えっとえっとティッシュが右ポッケに…あった、はい」

「……すまない、杉並女史」

来ヶ谷さんのほうがエロイ妄想をしていたっ!



程なくして二人が出てきた。

「お先にお湯をいただきました~。お次の方どうぞです~」

「じゃあ、次は私が入ろうかな」

立ち上がる小毬さん。

「みおちゃんも一緒に入ろ?」

「………………え?」

話を振られると思ってもいなかったのか、西園さんはキョトンとしていた。

「ふえ?」

その反応に小毬さんも首を傾げた。

「……あ、いえ、わたしは後で入ります。着替えも持ってきてませんし……」

「西園女史の替えの下着はすでに脱衣所に置いてあるぞ」

「……く、来ヶ谷さんっ! い、いつの間に……」

「うむ、さっきの間にだ」

「……ぅ」

小毬さんの顔を覗き見る西園さん。

相変わらずの笑顔だ。

西園さんを見ると嫌がっているのではなく、踏ん切りがつかないといった様子だった。

西園さんの目が鈴の方に向いた。

「ん……その、なんだ」

鈴が照れたようにほっぺをかいた。

「慣れると……その……悪くない」



「………………」

少しの間。



「……わかりました。い……一緒に入りましょう」

「うわーい、やったよ~」

嬉しそうな小毬さんと、お風呂に入る前からほっぺを桜色に染めている西園さんが脱衣所へと向かった。



「わふ~っ、次は私も西園さんとご一緒したいのです~っ」

「ほどほどにね、クド」

「私も西園女史と裸で語り合いたいものだ」

「トラウマになりそうだからやめてあげてよ……」

「なぜ私だけそんな反応なのだ!?」

日頃の行いだと思う。



お風呂場からは――



『あ、みおちゃん。先に湯船に入ってたよ~』

『……はい』

『バスタオル巻きっぱなし?』

『……はい……』

『体、洗えないよ?』

『……あの……はい……それでいいです……』

『……心配しないで、みおちゃん』

『……ですが……』

『私だってすっぽんぽん、ほら』

『…………』

『もしみおちゃんが見るなって言うなら、私目をつぶってるよ?』

『……』

『どうかな?』

『……目をつぶる必要は……ありません』

『そっか、うんっ』

『……では……………………』

『わぁ……』

『……っ……ぁぅ……』

『みおちゃんキレイ……色が白くてスラッとしてて、まるでお人形さんみたい……』

『いっ、言わないでください…っ』

『ううん、言わせて』



『――綺麗だよ、みおちゃん』



『っっっ――!』





「わわわわわわわふ~……っ」

こちらではクドが真っ赤な顔でクッションをギュギュギュ~っと抱きしめていた!

「なっ、なんだかお胸がドキドキします~……。今後は小毬お姉様とお呼びした方がよろしいのでしょうかっ」

「うみゅみゅ……わ、わたしもだ」

鈴まで顔が真っ赤だ!

「……! ……! ……――~~~~~っっっ!」

杉並さんに至っては(〃>△<〃)みたいな顔になって、なぜか布団をバフバフと叩いている!

小毬さんは天然で言ってるのだろうけど、ジゴロの才能があったりするのかもしれない。

来ヶ谷さんはというと――。

って来ヶ谷さんがいないっ!

と思ったら既にお風呂の方へコソコソと忍び寄っているっっっ!

「わわわっ、来ヶ谷さんダメだよーっ!」

「ええい、放せ小娘っ! 私も西園女史の柔肌を拝みたいのだっ!!」

小毬さんとは対照的に欲望丸出しだった!!



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