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「……うむ」
――さっきまで悶絶していた来ヶ谷さんがなんとか立ち直った。
「そろそろ最後だな」
「髪型もいじるとしようか」
「そうは言っても姉御ー」
葉留佳さんが律儀に挙手をしている。
「理樹くんの髪の長さだとムズかしくないッスか?」
「えくすてんしょんをつけるというのはいかがでしょうっ」
「……綾波カット」
「今からエクステンションやシャギーを入れている時間はさすがにないだろう」
「……うーん」
――みんな考え込んでいる。
このままでもいいのになあ……。
「あ~、思いついちゃったよー」
――小毬さんがニコニコしている。
「おだんごヘアーにしようよ~」
「おー小毬ちゃん、グッドなアイディアーっ」
「うむ、それなら理樹君の髪の長さで出来るな」
「ちょとやってみるね」
「じゃー理樹君、じっとしててくださいねー」
小毬さんが僕の後ろに回って、髪をセットし始めた。
――しゅっ、しゅっ――
――くいっくいっ――
「どうかな~?」
「……ああ、かわいい……」
来ヶ谷さんがイケナイ目線を送ってくる……。
「カワイさの中に凛としたカッコ良さがありますネ」
「理樹、めちゃめちゃ似合ってるぞ。もーくちゃくちゃだ」
……これは喜んでいいことなのか……?
「……まるでチュン○ーみたいです」
西園さんはまた古いゲームを持ち出すし。
「あくせさりーもリキに付けましょうっ」
「ふむ、どれが似合うだろう……」
――またも全員に囲まれてしまった!
「わふー、このぴんくの大きなリボンなんでどうですかっ」
「クド公、それはちょっとハデすぎるって」
「このお星様をつけようよー」
「この黄色いリボンなんてどうだ?」
「鈴さん、せんすばくはつですーっ」
鏡がないからわからないけど……頭の上が大変なことになってそうだ。
「こっちつけたいーーっ」
「これだけは譲れませんっ」
「ふかーーーっ!」
「ぼ、僕の頭の上でケンカしないでっ」
――様々なアクセサリーをとっかえひっかえ着け変えること数分。
「うむ、この組み合わせが一番似合うな」
両方のおだんごには、赤と黄色のチェックのリボン。
そして右のおだんごにはボンボンのアクセサリー。
左のおだんごにはお星様のアクセサリー。
…………
「うう……僕が僕でなくなっていく気がする……」
「はっはっは、このまま女装趣味に走ってくれてもおねーさんは全然かまわないぞ」
「ぜ、絶対イヤだよっ」
……自分で言うのもイヤだけど……
……髪型もアクセサリーも完全に似合っていた。
「わふー……カワイすぎですっ」
「ウヒョーー、理樹くんに鼻血ブーーーっ」
「ふええ……理樹君、女の子だねー」
「……うなじが……そのうなじが……」
「理樹、もうくちゃくちゃだ」
「……あはは、ありがと……」
もう、やけくそだった。
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