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花ざかりの理樹たちへ その92 ~買い物編~ (リトルバスターズ)
作者:m (http://milk0824.sakura.ne.jp/doukana)

紹介メッセージ:
 恭介の思いつきで始まった王様ゲームにより、理樹は……。各編はほぼ独立していますので、途中からでもお楽しみ頂けます。

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前回花ざかりの理樹たちへリスト次回





「へぇ…ここのゲームコーナーは始めて入ったよ」

「ふむ、まぁ自由に遊べそうではあるな」



 デパートのゲームコーナーは…うん、そのまま『デパートのゲームコーナー』といった感じだ。

 手前には可愛らしいぬいぐるみが入ったクレーンゲーム、お菓子の入ったクレーンゲームが数台並んでいる。

 奥に目を向けると、ちょっとしたメダルゲームや対戦ゲーム台が数台。

 来ているお客さんと言ったら子ども連れのお母さんたちだ。



「なるほどね。ここならあなたたちが大騒ぎしても迷惑をかける人が最少で済む、ということですか」

「ああ、二木の言う通りだ」

 どうやら恭介はここにはお客さんが少ないのを知っていて入ったようだ。

 ……今さらなんだけど、佳奈多さんは自分が騒ぎのメンバーに加わってない口ぶりに驚きだ。

「早速、ここで勝負をしてもらうわけだが……」

 恭介が冷や汗を垂らし、フロントの方を見つめた。





「うおおぉおぉおぉおぉおぉおぉーーーっ!! 筋肉なめんなぁーーーっ!!」

「ふのぉおぉおぉおぉおぉおぉおーーーっ!! 剣道部のホワイトタイガーこと俺をなめるなぁーーーっ!!」

 ……。

 フロントの方では、真人と謙吾が腕相撲をしながら雄叫びを上げていた…。

 隣にはスモウレスラー型の腕相撲マシン。

 根元から腕が折れて機械とか何か出てはまずそうなものがはみ出している。

 さらにその横には半分涙目で、やけくそのような笑みを浮かべて二人の様子を見ているアルバイト店員らしき人。



「……どうやら、道を歩いていた二人がたまたまそこで会って腕相撲マシンで勝負を着けようとしたところ、

  勝負の最中にマシンの腕が折れてしまい、結局二人で直接対決になってしまったようです」

「西園さん、そこまでわかるんだ…」

「……初歩的な推理ですよ、ワトソンさん」

「いや、ワトソンじゃないし…」

「理樹、悪いがあいつらをこっちに呼んできてくれ……あのバイトが泣きそうだ」





「――っつーわけで、オレは手加減して指3本でやったんだけどよぉ、コキャッと折れちまった」

「フン、俺ならばあの程度、指2本で折れるがな」

「んだよ謙吾っ! ならオレは指1本だぜ!」

「悪いが俺は念動力だけで折れる」

「マジかよっ!? ノータッチ腕相撲ってことかよっ!?」

「相変わらずアホだな、こいつら」

 ……ごめん二人とも。

 僕も鈴に同感だ。

「けど謙吾君、あの後すぐに警備員さんから解放されたんだね~」

「ああ」

 そういえば謙吾は下着売り場のマネキンに話しかけていたところを警備員に連れて行かれたんだっけ。

「なぜかやたらと心配されてな」

「ほら、菓子折りまでもらってきたぞ。後でみんなで食べるとしよう」

 嬉しそうに堂々とケーキの箱を持ち上げる謙吾。

 喜んでいいのか微妙なところだ。

「井ノ原さんは何をお買い物したのですか?」

 真人の手に下がっている袋を指差すクド。

「おう、これか?」

「まずはダンベルだろ、それとダンベル……そして最後はもちろん、ダンベルだぜっ」

「まさかの全部同じものですっ!?」

「わかってねぇなぁ、クー公はよぉ」

「はい?」

「まずこっちのダンベルあるだろ? これが使う用のダンベル。んでもってこっちが観賞用、それでこっちが布教用だ」

「そうでしたっ! 3個買いはまにあの常套手段でしたっ! うっかり失念していましたーっ」

「うっかりしすぎだぜクー公よぉ、しっかりしてくれよな」

「はいっ」

 何をしっかりすればいいんだろう。

「…私としては観賞用が気になるんだが」

「真人、たまに筋トレグッズをうっとりした表情で見つめてるからね……」





「――OK、みんな集まったな」

「それでは全員注目!」

 恭介の呼びかけに、全員の目が恭介の方へと向けられた。

 そこには。



 『クイズ・ビリオネア』



 そんなタイトルが描かれたゲーム台が2台並んでいた。

「クイズゲーム?」

「このゲーム、はじめて見た…」

 葉留佳さんと杉並さんが首を傾げる。

 他のみんなの頭にもクエスチョンマークが浮かんでいるようだ。

「パッと見でもう察したとは思うが」

「…僕たち全員わかってないんだけど」

「ま、それは今から説明するとして――」

 いつものように懐から巻物が現れた。

「あ、理樹ちょっとそっち持って」

「え? うん」

 …それをだー、と走って広げる。



「第一回・クイズジャァァァァァン!!」

「はい、拍手~」



 ………………。

 全く意味がわからなかった!!



「はい、恭介さん、質問です」

 クドがオズオズと手を上げた。

「なんだねクド君」

「何をしたらよいのか、全く検討がつきません…」

「いつも以上に不思議タイトルですヨ…」

 みんながみんな頷いている。

「仕方ないだろ、なんせさっきの今だ」

「書く時間がなかったんだ」

 それでもわざわざ書こうとする恭介の頑張りはすごいと思う。



「じゃあ、説明をするぞ」

 一つ咳払いをする恭介。

「今回の趣旨は、このクイズゲームを使って鈴と二木の勝負を行なう、ということだ」

「……うみゅ……」

「……」

 困った顔になる鈴と、余裕そうに息を吐く佳奈多さん。

 …鈴には不利かもしれない。

「ここにしかないゲームだからな。説明をよく聞くように」

 恭介が2台のクイズゲーム台の間に立った。



「ここに並んでいる2台のゲーム台で対戦してもらうわけだが、これは今流行りのクイズのように通信対戦をすることが出来ない」

「よって、二人がそれぞれの台に座ってプレイしてもらい、ゲーム終了後の結果で勝負する」

「つまり昔のゲームみたいな、対戦機能がないただのクイズゲームなのだな?」

「ああ、謙吾の言う通りだ」



「それとこのゲームの特徴なんだが……下の方に景品取り出し口がついてるだろ?」

「あ、ホントだ~」

 ゲーム台の下にはクレーンゲームにあるような景品取り出し口がついていた。

「クイズに正解すればするほど、そこから良い景品が出てくる」

「ただし」

 恭介が言葉を切った。

「問題を正解するごとに、『次の問題』か『ドロップアウト』の選択肢が出る」

「景品をもらえるのは『ドロップアウト』した場合か、問題を最後まで正解したときだけだ」

「1問でも間違えると景品はなし、ゲームオーバーということになる」



 なるほど…。

 景品が欲しかったらドロップアウトを選べばいいのか。

 でも、次の問題を解ければもっと良い景品がもらえる。けどもしも間違ったら……景品はなし。

 なかなか難しいゲームかもしれない。



「――駆け足で説明したが、大体このゲームのことはわかってくれたか?」

 頭から煙を上げている真人以外、みんなわかっているようだ。

「いわゆる、以前にテレビで流行った『クイズ・ミリオネア』と思ってよいのだな?」

「……タイトルもそのままですし、ゲーム画面に映っている日焼けしたキャラもみのさんに酷似しています」

「まぁ、否定はしない」



 ポンポンとゲームの台を叩く恭介。

「よし、じゃあ勝負方法な」

 恭介が鈴と佳奈多さんの方に視線を送る。



「――出題される問題は全部で5問」

「その5題全てを正解したほうが勝ち」

「それか、景品をゲットしたほうが勝ちだ」

「で、勝ったほうが」

――チラッ

 恭介の目が僕に向いてるっ。

「と、そんなわけだ」

 あえて言わないのが余計に怖い!

 ……いやまあ、鈴と佳奈多さんなら変なことはないとは思うけど。



「全問正解するか、景品をもらった方がかち?」

 ふぇ、と声を漏らす小毬さん。

「ああ、そうだ」



 あれ?

 けど、そうだとしたら…



「棗先輩、よろしいですか?」

 僕が首を捻るのと一緒に、佳奈多さんが手を上げていた。

「なんだ?」

「このゲームは1問でも正解したら、ドロップアウトして景品をもらえるのですよね?」

「そうだな」

「でしたら、1問正解して降りたら勝ち、ということになりませんか?」

 そうだよね…景品をゲットして勝ちなら、それもアリだと思う。

「相手が問題を間違って景品を取ることが出来なかったらそうなるだろうな」

「では、もし相手も景品を取ったら?」

「二人とも景品を取ったときは、この勝負は無効だ」

「……二人ともドロップアウトをしないようにするための措置ですか」

「そうなると面白くないからな――っと、そうだ」

 また恭介がゴソゴソと自分の胸元を漁り、何かが描かれた紙を出した。

「ちなみにこれが景品のリストな」

「面白くなるように店員に無理言って替えておいてもらった」





 1問目正解……グラサンの人の前で「バルス」と叫ぶ券

 2問目正解……ネコミミとシッポをつける券

 3問目正解……一番年上の人を「お兄ちゃん」と呼ぶ券

 4問目正解……気になるあの娘の隣を歩ける券

 全問正解………むしろ理樹と二人っきりになれる券

 ※なお、勝利した者は景品に加えて、理樹を好き勝手にできる券





「ちなみにゲットした景品の内容はきっちりと実行な」

「いやいやいやいやっ!? これ前半は絶対罰ゲームだよね!?」

 しかも最後の景品の反論権は……僕にはなさそうだ……。

「見ろ、あからさまに個人的な希望が混じっているぞ…」

「ひゃぁ、どう考えても職権乱用ですナ」

「ふかーっ!! こんなのできるかーっ!」

「ならクイズを全問正解すれば問題ない」

「そんなのできるかーっ!」

 鈴が恭介をブンブン揺らすが、むしろ恭介は涼しげだ。

「…ふぅん」

 佳奈多さんが相槌を打った。

「途中で降りて相手の間違いを待つ作戦を取ろうかと思ったけど、それなりのリスクを負わなきゃならないようね」

「複数の戦略を取れるがどれもリスクを負う。いかにも恭介氏らしいな」

「だろ?」

 なるほど……さすが恭介だ。

 遊びには余念がない。



「最後に」

 恭介が口を開いた。

「この勝負はクイズゲームだ。圧倒的に二木の方が有利だろう」

「そーだな、あたしは自信ない」

 自信満々に自信のなさをアピールする鈴。

「どう考えたって二木のほうが頭いいもんな」

 真人の鈴を見る目はまるで同士を見るような目だった。

「おまえにだけは言われたくないわ、ぼけーっ!!」



――ズゲシッ!



「ぎゃはんっ!!」

 いつものことだけど……真人も余計なことを言わなきゃ蹴られないのに。

「鈴ストップ。話を続けるぞ」

「――ここにいるメンバーを鈴グループと二木グループに分ける」

「グループ内でのアドバイスはOKとしよう」

「二木もそれでいいか?」

「構いません」

 佳奈多さんが腕組みをしながら「やれやれ」と鼻を鳴らす。

「それなら鈴ちゃんもお姉ちゃんと互角に戦えるね」

「そーだな、おー助かりだ」

「りんちゃんもかなちゃんもがんばってね~」

「お二人ともがんばってくださいっ」

 みんなが鈴と佳奈多さんを囲んで思い思いの言葉をかけている。

「今回はバランスも考える必要があるからな。俺があらかじめ決めておいた」

 またもや胸元から紙が出てきた。

 いつのまに…というツッコミはやめておこう。

「…誰か手に取ってくれ」

「ああ、ごめん」

 恭介から紙を受け取ると、みんなも「ふぇ~…」「わふ~…」「ふみゃ…」と興味深そうに覗き込んできた。

「ええっと…」



 鈴グループが…

 杉並さん、小毬さん、来ヶ谷さん、真人、恭介。

 佳奈多さんグループが…

 クド、葉留佳さん、西園さん、謙吾。



「あれ? 恭介、僕は?」

「理樹はピーチ姫ポジションだろ、普通に考えて」

「えええええぇぇぇーーーっ!?」

 やっぱり僕はそういう扱いなの!?

「そりゃそうだろ。だって鈴も二木も理樹を巡って戦――」

「「ちがうっ!!」」

 顔を赤くして大きな声で否定する二人。

 …気が合ってるんだか合っていないんだか、見事にハモっている。

「……」

「……」

「……」

「……」

「ふかーっ!」

「…フン」



――バチバチバチバチ!

 二人の間に火花が散っていた!



「……一人のお姫様を巡り、二人の可憐な少女が争う」

「……敗者に待つは恥辱、勝者には甘い蜜ですか。後ほど文章に起こしておくとしましょう……ぽっ」

「僕男だし、文章なんかにしないでよっ!!」




***




ややこしかったと思いますので、まとめておこうかと思います。

ゲーム内容はクイズ。
問題を正解した後に「次の問題」と「ドロップアウト」を選べます。
「ドロップアウト」を選ぶと正解数にあわせた景品が落ちてきます。

■景品一覧
1問目正解……グラサンの人の前で「バルス」と叫ぶ券
2問目正解……ネコミミとシッポをつける券
3問目正解……一番年上の人を「お兄ちゃん」と呼ぶ券
4問目正解……気になるあの娘の隣を歩ける券
全問正解………むしろ理樹と二人っきりになれる券
 ※なお、勝利した者は景品に加えて、理樹を好き勝手にできる券


勝敗
●全問正解したら、その人が勝ち。
●景品をとった人が勝ち。
 ☆一人がドロップアウトをして景品をゲットして、もう片方が問題を間違えてゲームオーバーになったら、景品を取った人が勝ち。
 ☆二人ともドロップアウトして景品をゲットしたら勝負はなし
 ☆二人とも間違ってゲームオーバーなら勝負はなし。


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