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食堂に着くと、全員が勢ぞろいしていた。
……いや、張本人の恭介がいない。
「リキさん、井ノ原さん、ぐっどもーにんぐ、ですー」
「理樹、真人。おはよう」
「おはよう」
「おー」
元気なのはクドと謙吾だけのようだ。
他の面々は……
「眠いんじゃ、ぼけー」
鈴はフラフラしながら怒ってる。
「眠くない~……眠くない~……」
と、コクリコクリしている小毬さん。
「か、かわいい……」
ここぞとばかりに小毬さんに抱きついている来ヶ谷さん。
「はるちん、低血圧~」
葉留佳さんはテーブルにグタッと張り付いている。
「…………」
西園さんは…目の焦点が合っていない。
「よし。全員そろったようだな」
恭介がどこからともなく現れる。
この場にいる全員から、「?」の視線が注がれている。
「恭介、これはどういうことだ?」
「説明によっては……わかっているだろう、恭介氏?」
「まぁそう急かすなよ」
……急かすも何も、急がせたのは恭介じゃないか。
「じゃぁ、早速……」
「パッパカパ~ンッ! 第一回『王様だーれだ? ~今日一日私はアナタの僕(しもべ)~』開催ーっ!!」
「はい、拍手~!」
――ぱち、ぱち――
数人からまばらに拍手が送られる。
「…………」
ほとんどのメンバーは「ハァ!?」といった顔だ。
「……なあ恭介」
「ん? なんだ?」
「……それは、こんな朝っぱらから全員を集めなきゃならないものか?」
真人から真っ当な疑問が飛び出した。
「朝に思いついて、やりたくなったんだから仕方ないじゃあないかッ!!」
「こいつ、馬鹿だ!」
「はっはっは。おねーさんはノリノリだぞ」
「ルールはシンプルだ」
「今じゃんけんをして、一番に勝ったヤツが、一番負けたヤツを好きなように出来る」
「しかも一日中だ」
「どうだ? ワクワクするだろ?」
「……そんなダメだよっ! 一体誰が……」
反論して、みんなの同意を求めようとすると……
「はははっ、面白そうじゃないか」
そうだった。謙吾はネジが外れてから、こういうことが大好きだった……。
「うおーーーーっ!! 筋肉祭りだぁぁぁーーーっ!!」
すでに真人はスクワットを始めてる。
「面白いこと思いつくじゃないか」
鈴は感心している。
「わふー! 一日中フリスビーですっ」
「クーちゃん、がんばろ~ね」
クドと小毬さんもやる気マンマンだ。
……この二人だったら無茶な注文はしないだろうな。
「…………」
「……ぷぷぷぷぷーっ!」
葉留佳さんは一人で吹き出している。勝ったときの想像をしてるのだろう。
……葉留佳さんが一番になると非常に危険な気がする。
「……女王様と犬。――ぽっ……」
西園さんはあらぬ想像をしているようだ。
「…………」
来ヶ谷さんは……もう獲物を物色している。
この人が一番になると……とんでもないことになりそうだ。いろいろと。
はぁ……。
みんな眠気も吹っ飛び、やる気十分みたいだ。
「理樹、トップになることだけを考えるんだ」
――恭介から良くわからない励ましを受けた。
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