Author : 義歯
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オリジナル |
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ミディの放浪日記 |
2013-08-04 17:50:39
ミディの日記
ある日、お母さんがお仕事に行く時のこと。
こんこんこん。
「あーごめん、お母さんちょっと着替えてるからミディお願い!」
「はいはいはーい。どちらさまで…」
玄関のドアを開けて、近くを見てみても誰の姿もない。
「って、誰もいないじゃない…お母さーん、いたずらだったみたいー」
「ちゃんといるのー」
いきなり、足元から声が聞こえた。
「ミディおねーちゃんひどいのー」
「えっ? わぁっ!?」
下を向いてみると、小さな女の子が2人。
同じ顔をして、身長も体格も同じくらい…双子なのかな?
「あ、え、あの…? な、なに?」
「おとどけものにきたのー」
「きたのー」
…お届け物?
お届け物はいいけど…何でこんな子がお届けるの?
「あら、ミディ…その子達…
2013-08-04 17:47:27
ミディの日記
きょうは、げつようび。
わたしは、げつようびがキライです。
「行ってきます。お留守番、お願いね」
「うんっ! おかあさん、いってらっしゃい!」
…行っちゃうよ。
「それじゃね」
「あ、おかあさん…」
「ん? なあに、ミディ?」
「えっと…んと…お仕事、がんばってねっ」
…ちがうよ、わたしはこんなこと言いたいんじゃないの。こんなこと言いたくない。
「うん。頑張ってくるわ」
「えへへ。いってらっしゃいっ」
ぱたん。
わたしは、ゆっくり玄関のドアをしめました。
少ししてから、もういっかい開けます。
…お外を見ても、おかあさんは見えません。
あるいて、もうとおくに行っちゃったんです。
…でもでも、ちゃんとかえってくるのは分かっています。
夕方になれば、ま…
ミディの放浪日記~第17枠 ミディのさがしもの -見つけにくいものですか?-
2013-08-04 17:44:47
第17枠 ミディのさがしもの
船の上。ミディが海を眺めながら歌を歌っている。
「うーみーはーひろいーな、おおきぃーなー」
「つーきーはーのぼるーし、船しーずーむー♪」
「ふぇ!? カイ、ちがうぅ。しずむのはお日さまだよぅ」
「そ~だったかなー?」
「ぶぅ」
…俺達は風に乗って、もともといた大陸の東側に向かっている。
「…このまま進めば戻ることになるんだよな」
後ろの方で風を浴びていたイリスに話し掛けた。
「大陸一周…ね。喜んでいいのか分からないわね」
普通なら喜ぶべきことなんだろうけどな。
「…でも、ミディの…」
「分かってる。皆まで言うな」
大陸中を廻っても、ミディの探し物は見つからなかった。
…教えてくれない事を無理に聞きだすなんてつもりもなかったしな。
「…
ミディの放浪日記~第16枠 西方幻想譚5 -いってきます。そして、"さようなら"-
2013-08-04 17:41:22
第16枠 西方幻想譚5 A Port-Departure and Saying "byebye"-
果てしなく続くとも思えるほど長く続いた荒野を抜けると、そこにあったのは港町。
実に1週間ぶりの町。
…自分たちが野生一直線な顔をしていないか心配だ。
「やーっと町に着いたのか…長かったなー」
「ええ…アルベラを出てからは大きな町はなかったしね…」
ミディは俺の背中で寝息を立てている。
あれだけ元気なミディも疲れて眠ってしまうほどにこの1週間は長かった。
ついでに言うと毛玉も寝ている。
「いや~、歩いた歩いた」
…なのに何でフィオはこんなに余裕なんだ?
まるでスポーツで軽く汗を流した後のような感じだ。
「長かったから疲れたね~」
嘘だ。絶対嘘だ。
「フィオ…とりあえず宿に連れてってくれ…」
全身はもう疲労の塊だ。
「…
ミディの放浪日記~閑話4 雨の日と月曜日は -looking for the rain-
2013-08-04 17:38:54
閑話4 雨の日と月曜日は
「すっげー雨だな…スコールかよ」
俺達3人が宿に着くなり、いきなり雨が降りだしたのだ。
しかも豪雨。ていうか滝壷。
窓から外を見ると、通りをはさんだ向こう側の建物が見えないほどの雨。
「なあフィオ、エリアス。何なんだこの雨?」
鶏肉を頬張っているフィオが答える。
「もぐもぐもぐもぐ」
「分かんねー」
「むぐむぐむぐ」
「変わんねー(;´Д`)」
「フィオ、おぎょーぎ悪いよぅ」
「…(´・ω・`)」
子供に言われたら立場も何もない。
「えっと…この辺はね、たまにこういう通り雨があるの」
「通り雨…これが?」
怪訝な表情でイリスが聞き返す。
「うん、通り雨。だいじょぶだよ、一晩で止むから」
…マジか?
「時期を考える…