> ごきげんよう。mですw
mはほぼジュースを飲みません。 コーヒーばかり飲んでいます。 ですがこちらの国ではコーラとスプライトばかり! 暑い時にスプライトをもらって嬉しいのですけれど、なるべくならアイスコーヒーが飲みたいなぁ、なんて思ってしまう今日この頃ですw
>そういえば 有給がたまっている事に気付いたmです。 有給……! 甘美な響き! けど、どこで使えばいいのかわからないのが切ないです(^-^; 今はリーダーな役割を行なっていますから、休んだら仕事が滞るところも出てきてしまいますし。
とりあえずは今のところ、8月の出張のときに使って少し旅館でくつろいでこようかと目論んでおりますw
>前回のクイズ! すっかりと恒例になっているクイズですw 前回は趣向を変えてアニメに走ってみましたw 年齢層が出てしまう問題といえるでしょう!(ぉぃ いえ、みんなmと近い歳ということで……
では正解者の発表です! ドルルルルルルルルルル〜!(セルフドラムであって若本ボイスではありませんw ジャン!
スイさん、ナハトさん、ユリアさんでした〜!
今回は難しいというよりは古めだったかと思います。 さて正解。 この人は『スレイヤーズ』に出てくる『ゼルガディス』ですw けど、久しぶりに出てくるたびに大体ゼガルディスといい間違われている不遇の人。 アメリアといいコンビだったりしますw
今日はクイズはお休みです。 けどもう誰を出すかは決まっていますw またゲームに戻るつもりでいます。
>WEB拍手レス! >カズさん カズさん、いらっしゃいませw ベイブレード2002ですかw ベイブレードはつい近頃のことかと思ったらそうでもないのですね。 mも歳を……ゲフンゲフン。 全く何でもありません(爆
たしかにあの手のアニメはショタ要素が……(ゴクリ
>スイさん スイさん、こんにちは! おおお、スイさんの連続正解記録が更新されていく! やはりゼルを語る上ではアメリアとの関係性が外せないと思いますw 中々良いカップリングです。 今思いました。 ……ゼルよりアメリアの方がわかりづらかったかな、と(ぉぃ
ちなみにスイさんが見たのは、うまい棒をかじっているコマリンですw ういろうと言われればういろうです(爆
>ナハトさん いらっしゃい、ナハトさんw
やはりナハトさんはわかりますか。 これは歳の功……ゲフンゲフン。
この辺の時代はどのチャンネルを回しても林原ボイスばかりだったな〜と思いましたw
>ユリアさん ユリアさん、こんにちはw さすがユリアさんも大正解ですw mは昔、とってもリナ=インバースに憧れていましたw ドラグスレイブ使いたいですw
寿司はサイドメニュー的な寿司もいいですよねw コーンマヨ、ハンバーグなんかつい手を伸ばしてしまいます。 サーモンに関しては、どんな調理されていても大好きですw
>久しぶりに小説を書いてみました! 近頃ふと思いました。 趣味をする時間がないと、なんだか生活が味気ない、と。 そんなわけで最近は絵を書く機会が増えておりました。
そして更に! 今回は小説を書いてみましたーw わーぱちぱちぱちぱち! オリジナルです。 mはSS専門でしたので、長編のオリジナルを書いたのは実質今回が初めてです。 以前にちょっと遊び気分で『りんぐっ』を書きましたがw
ゆりちゃんのSSを読んでいたら私も小説を書きたくなってしまってw あ、現在ゆりちゃんのSSは最初から読み直させてもらっています。 最終回まで読んで、後ほど感想を書かせていただきますねw
さて、今回の小説はmが怖い夢を2日連続で見たことをヒントに書いています。 デメント実況を見たせいかもしれません(ぉぃ
今後は週末に書き溜め、1話完結ストーリーにしたいですw スナック感覚で空き時間に気軽に読める話にできたら幸いです。
……今後は百合展開に引っ張ります!(ぅぉぃ
ではでは、mの初オリジナルの始まり始まりです!
#『ドリームメイカー 1話、2話』
――物語はいつだって唐突だ。 大抵の女の子は空から降って来るし、闇の組織は突然命を狙ってくる。 ロボットは乗れば動くし、メロスに至っては冒頭から激怒している。 全ては夢物語の産物であり、突拍子もないことだと思っていた。 現実では起こり得ない。わかっている。 ただ世の中には『事実は小説より奇なり』という言葉があるらしい。 あたしは朝日が差し込むベッドの中、そんな無駄な思考を巡らせていた。
ぐいっ。
パジャマの裾を引かれた。 温かいものがあたしの腕に触れる。 再度、その温かいものを見た。
「……すぅ……すぅ……」
あたしの手を取り心地良さそうに眠るのは小学1年生くらいの女の子。 寝息と共に揺れるおかっぱの髪、ちっちゃい口、ちっちゃい手。 とっても愛くるしい。 ぐ……そんなことは、どうでも良くて。
「……ん……っ……ぁ」 女の子が目を覚ました。 眠気眼を擦りながら、もぞもぞと体を起こし、にぱぱ〜っと天使のような笑顔をあたしに向けた。
「おはよ、ママ」 「マ、ママ……?」 「うん、おはよ、ママ」 「……あ……あたし?」 「ママ」
「ええええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇーーーーっ!?」
あたし、御門美月は高校1年生にして―― ママになったらしい。
時間は遡る。
――1日前。
『えー、この時間に臨時集会を開いたのは開いたのは他でもありません。我が校でぇ、いや違ったなぁ…我が町で起こっている謎の失踪事件のことです』 緊急集会が開かれ、校長の長い話が延々と続いている。 掻い摘んで説明するとこうだ。 近頃、あたしたちが住む白神町で失踪する人が増えている。 しかも夜までは確かに家にいたのに、朝忽然と姿を消しているケースがほとんどだ。 関係があるかはわからないが、謎の大怪我を負って病院に運ばれる人もいるそうだ。 だが、得てして彼らの記憶は曖昧――なぜ自分がそんな状態に陥ったのかすらわからないらしい。 あるのは絶望的な恐怖感だけ、だとか。
校長の長い前振りが終わり、ようやく緊急集会の本題に入ったようだった。 『1年D組の富竹君に続き、1年C組の山本君もいなくなってしまったと保護者の方から連絡がありました。もし心当たりがある人がいたら――』 その名前を聞いて、あたしの脳裏にちょっとしたことが引っかかっていた。 「あの光景」が思い浮かぶ。 け、けどあれは……。 ちょっとしたこと……だと思う。
昼の学生食堂はいつだって混んでいる。夏場なのでこの混雑はさすがにキツイ。 正直違う場所で食べたいんだけどなあ。 けど寮組のあたしには朝からお弁当を作る気力なんてあるわけもなく、いつだってここで食事をするしかないわけだ。 辟易しつつ、ようやくトンカツ定食を手に長い列を抜け出した。 「――美月、こっちだ。空いている」 先に抜け出して席を確保していたクールメガネが軽く手を上げる。 「洋介は今日もラーメン? おいしょっと」 言いながら洋介の向かいに腰を下ろした。 「当たり前だ。なにせ暑いからな、今日も」 「理由になってない、それ」
十六夜洋介(いざよい・ようすけ)。幼馴染。 本来なら名前負け間違いなしの「十六夜」の苗字だが、洋介の場合は誰もが言われて納得する。 髪はサラサラでメガネが良く似合う。 いかにも数学が得意そうな見栄えだ。夕暮れ時に黄昏て厚手の本を読んでいれば完璧だろう。 けど一つだけ欠点がある。
「数学戻ってきた? そっちはどうだった?」 「ん? 受け取って真っ直ぐ集会だったからな。丁度持ってきている。見ればいい」 胸元から取り出し、差し出してきた数学のテストを見る。 証明問題が主だったのだが、そこにはこう書かれていた。
『問題が正しいということを、この十六夜洋介の名の下に証明する。(母印)』
「ブハッ」 思わず吹き出した。 「バツばかりだが、もしや実印のほうが良かっただろうか? しかし持ち物には定規とコンパスしか指定されていなかったが」 湯気で真っ白になったメガメをスチャリと直す。 ……そう、彼は残念なのだ。基本的に。 「アチッ、アチチッ」 あ、麺こぼしてるし。 そうこうしているうちに、最後の一人がやってきた。 「おまたせ〜」 「ごめん、亜子。先に食べてた」 「いいよいいよ」 亜子があたしの隣に腰を下ろした。 「やっぱり夏はプリンプリン♪」
プリンプリンと言いながら栗毛色のショートヘアを揺らしているのは並軒亜子(なみのき・あこ) スカートは膝丈、爪は短く、お小遣いは月3000円で昼ごはん代は毎日300円までという、とても普通の女の子だ。 あたしは体育会系だけど、亜子は素朴で女の子女の子しているところがツボだ。
「美月ちゃんも一口食べる?」 亜子がスプーンでプリンを掬い、横に少しだけ首を倒す。 何か聞くときに首を横に少し傾げるのは亜子の昔からの癖だ。 「え、いいの?」 「もちもち。はい、あ〜んして。あ〜んっ」 自分でもあ〜んしながらスプーンを近づけてくれる。 この子のこういうところが守ってあげたくなるのよね……ってあたしは何を考えてるんだっ! 「あれ、美月ちゃん? なんか顔赤い」 「な、なんでもない……それじゃ、あ〜んっ、ぱくっ」 「ムッ!」 ……なぜか向かいで洋介が反応した。 「美月」 「何よ?」 「……ラーメン一口食べるか?」 どうやら対抗意識を燃やしているらしい。 ま、ちょうど食べたいと思ってたし。 「じゃ、一口だけ」 「そうかそうか」 箸を伸ばそうとしたら、その前に洋介が嬉しそうに麺を掬い、そして。
麺が優しく添えられた。 ――カツの上に。
「………………………………………………ねぇ?」 「どうした? ああ、オレも一口カツをいただこう。等価交換、というヤツだな」 麺が掛かっていないところからカツを掻っ攫う洋介。 「って!! 普通かけるか!? カツに麺かけるかっ!?」 「麺を置く場所がどこにもないではないかッ!! まさかあーんかッ!? あーんが良かったのか!? さすがにそれはなんだ……羞恥プレイであろうがッ!!」 「発想がおかしいっ!! 今、あたしが、普通に、フツーに、食べようとしてたでしょっ!」 あああっ、コイツが何を考えているか全くわからないっ! その様子を見つめていた亜子が麦茶をすすりながら一言。 「いつもの光景だねぇ」 そう。 いつもあたしたち3人はこんな感じだ。
「――夢、見たんだよね」 食事も落ち着き始めた頃を見計らって、二人に話したいと思っていたことを口にした。 「夢?」 洋介が口元をナプキンで拭きながら反応する。 「あたしの夢にさ、例の二人が出てきてた」 「例の二人って、あの失踪したっていう二人?」 亜子が小首をかしげる。 「そ。変な夢……怖い夢の類だったんだけど――」 あたしは自分が見た夢を亜子と洋介に話し始めた。
こんな夢を見た。 学校だ。 夜の学校だ。 気付いたときには、あたしは廊下に佇んでいた。 そうだ……。 あたしは『なにか怖いもの』を見て逃げていたんだ。 自分の状況を思い出し駆け出そうとした。 突如、後ろから咆哮が轟いた。 地獄の底から響くような腹に響く低音の咆哮。 廊下の窓がビリビリと振動する。 夢だとわかっていても思わず足がすくむ。 背後を振り向いた。 あたしからかなり離れた位置に――『アレ』はいた。 化物が唸りを上げていた。 3mはあろうかと云う巨体。全身が分厚い鋼の筋肉に覆われており、頭は既に廊下の天井にくっついている。 ハルクという映画を見たが、それと似ている。 口からは唸りが漏れ聞こえてくる。 それの足元には、同じ学校の生徒が転がっていた。全く動かない。折りたたまれ、人としての原型を失っているのだから動かないのは道理だ。 手にも学校の生徒が掴まれていた。 ジタバタともがき、放せ、放せと言っている。 あれはたしか洋介のクラスの…………? それも束の間だった。 「ウグォオォオォオォォッォオォオォオォォッ!!」 化物の呻きとともに、無茶苦茶に振り回した手からその生徒が弾丸のように解き放たれた。 放たれた先は教室。 弾丸のごとき生徒はドアをベニヤ板のようにブチ破り、爆音と共に机を弾き飛ばし教室の中にあったもの全てをを爆散させる。 飛び散った机が窓ガラスを突き破り散乱する。 3秒ほど雷ほどの轟音が鳴り響いていたが、最後のイスが地面に叩きつけられる音を最後に収まった。 静けさの中、彼は、もう動かない。 「こやつら……っ!! あれほど信じろと言ったであろうに……ッ!! クソッ!!」 別の女性の声。 同時に、動かなくなった彼の元から影が飛び出した。 それは黒かった。 そして美しかった。 漆黒の髪をなびかせ、真っ直ぐに化物に向かう。 「チッ!」 黒のゴシックドレスから延びるしなやかな脚がスピードを維持したまま一閃。 筋肉の固まりに食い込む脚。グギャリという嫌な音と共に化物の片腕がひしゃげた。 それが怯んだのも一瞬であった。 「ッ!?」 漆黒の女性が滞在している宙空を、豪快に乱暴に丸太のごとき腕が薙いだ。
グゥボンッ!!
先ほどまでかなり先にいたその黒い女性があたしの横をゴム毬のように飛び跳ねた後 「カハ……ッ!!」 廊下の壁に叩きつけられた。
「……で?」 「でって……それだけだけど。そこで目が覚めたの」 「それだけか」 洋介が麦茶をクイとあおり、お盆の上にグラスを置いた。 「神妙な顔つきだったから何かと思えば。何が言いたかったんだ、おまえは」 「だから、いなくなった二人が出てたのよ、あたしの夢に」 そこで今日の失踪だ。夢見が悪いとは正にこのことだ。 「妙に臨場感というかリアリティあったし……。気になるじゃない、こういうの」 「それはアレじゃないかな、きっと」 亜子がわかった顔でぴっと指を立てる。 「明晰夢」 「なにそれ?」「なんだ、それは?」 二人でハモってしまった。 「色とかついてるし、感覚もある。リアルなんだけど夢だとわかってる夢」 たしかにその通りだ。すごくリアルだったけど夢だとわかっていた。 もし夢だと思わなかったら一目散に逃げているだろう。 「あとね、明晰夢のプロは夢の状況を思い通りに変えれるんだって」 「夢なら当然だろうな」 フンと鼻を鳴らす洋介。 「けど、夢を夢だと気付ける人ってほとんどいないからスゴイと思う。美月ちゃんすごい」 「そこ褒められてもねぇ……」 「夢か。今日は何を見たか……」 顎に手を添えて考えていた洋介が、フムと一つ頷いた。 他の女子が見たら一瞬で心を奪われそうなクールな笑みを浮かべている。 「リバウンド王にオレはなる、だったか」 ジャンプに帰れ。
寮の自室。 「おやすみなさい」 友達だちが自分の部屋へと戻っていった。 あたしが住む寮は全員ワンルームの一人部屋だ。夜も門限などは存在せず厳しくはない。 そもそも入っている人数も10人を切っているくらいだから、各々の良心と自主性に任せているのだろう。 「んん〜っ」 伸びをして時計を見ると、既に23時を回っていた。 「遊びすぎた……。そろそろ寝ないと明日きついかな、これは」 寝ようかと思ったときに、先の夢の内容が脳裏をよぎる。 「……」 さすがに、もうあの手の夢は見たくないわね……。 布団に潜り込む。 今日はいい夢が見られますように。 いい夢が見られますように。 いい夢が見られます……ように……。 いい夢が……見ら……に。 いい夢……。 いも………。 ……。
――ドグォォォォンッッッ!!
背後で爆音。 慌てて振り返った。 「カハ……っ!?」 「え?」 ゴシックドレスの女性が背後の壁に叩きつけられ、崩れ落ちていた。 ここは……。 廊下……だ。 夜の学校の廊下だっ! 月夜に照らされ映し出される惨状。そこらにガラス片や元は教室ドアであっただろう木片、形を変えた机やイスが散らばっている。
ハァ、ハァ、ハァ……ッ!
心拍数がドンドン上がっているのがわかる。 恐る恐る正面に目を向ける。 そこに『アレ』が佇んでいた。 あの昨日の夢の化物だ。
「つ……」
続きだ! 昨日の続きだ!! あれから1秒と経っていない!! 「け、けど……」 夢だとわかっている。けど、異様に――リアルなのだ。 自分の鼓動を感じる。 よどんだ空気を感じる。 地に着いている足の感覚を感じる。 髪の毛一本一本の揺れを感じる。 後ろの女性のうめき声が聞こえる。 動くたびにシャリシャリと崩れた壁の破片を擦る音まで聞こえる。 「なっ、なんだこれは!? いや、どこだここは!?」という焦った洋介の声も聞こえる。 ……。 って、洋介の声!? 慌てて横を向く。 「な!?」 一瞬の間、洋介が目を見開く。 「み、美月か!?」 「よ、洋介!?」 いつもの学生服姿の洋介が愕然とした様子で辺りを見回している。 「ここは……オイ、ま、まさかとは思うが……」 あたしは生唾を呑み、頷くことしかできない。
「グオォオォオォオォオォオォオォオォッッッッ!!」 アレが吼えた。 空気そのものがビリビリと震える! アレが一歩一歩近づいてくる! 色濃い『死』が間近に迫っていることを全臓器が知らせている! 夢だとはわかっている。 きっと、恐らく、たぶん、大丈夫なんだとわかっている。 わかっているけど……っ! 「オイ、こ、これ……」 さすがに洋介も青ざめていた。 「ヤバイのではないか……?」 「い、言われなくてもそんなことわかってるッ!」 今まで味わったことがないリアルな、すぐそこにある恐怖に脚が動かない!
「何をしておるっ!! 立て直すぞっ」
背後からの声。突然引かれる手。 「きゃっ!?」「おおっ!?」 「早くせぬかっ!!」 手を引かれ、つんのめるように走り出した。 揺れる黒のゴシックドレスになびく漆黒のロングヘア。 手を引いているのは壁に叩きつけられていた女性だ。 手を引かれるまま、アレと反対側に走り始めた。 「クッ……なんというパワー……見くびっていたわ」 走りながら黒い女性が毒をつく。 あたしと洋介は全く状況も掴めぬまま一緒に駆けていた。 「あ、あのっ!!」 「なんじゃ!?」 「わけわかんないんですけど!!」 ようやく出た言葉がそれだった。 だが返ってきた言葉はもっとわけがわからなかった。 「死ぬな! それだけじゃ!」 全くこちらを見向きもせず、ただ前を向いて走っている。 「これ夢よね!?」 「そうじゃ、これはおぬしらが言う『夢』じゃ!!」 いきなり肯定されてしまった。 「ゆ、夢だったか。ならば一安心か……」 洋介が言ったときだ。 「ウツケがっ!!」 突然女性が脚を止めた。 「うおっ!? だはぁあぁーッ!!!」 あまりに急に止まったせいで、洋介が吹っ飛びながら顔面からスライディングしていた。 「ここは夢であり現実じゃ! 現実であり夢じゃ!」 「……え……?」 全くワケがわからなかった。 「クッ……よかろう。奴と十分な距離もとったことだし説明してやる」 夜の校舎、職員室前で切れ長の瞳が黄色く色づく。 「近頃、この寂れた村、お主たちの町か。ここの人の夢と人の現実が『リンク』し始めた。今までも稀にあったがここまで大規模なのは初めてだ」 「リ、リンク?」 わからぬのか、と鼻であしらいながら長い髪を右手で払う。 「ここで起きた事象が現実で起きるということじゃ。死にたくなかったら一時たりとも気を抜くな」
ちょっと待って。 それって。
ドグォン。 遠くのほうから壁を叩きつけるような音が聞こえた。
それは……。 「まさか、この夢で死んだら……」 何を今更、という顔つきで見下げられた。 「おぬしらは戻ることなくここで潰(つい)える。向こうではそうじゃな、神隠しとでも呼ばれておるか?」 「そ、それでは、なんだ!」 洋介が女性の方を掴んだ。その手には力が篭っている。 「さっきやられていたヤツらは……」 「奴等は死んだ。もう現実には戻らぬ。二度とな」
ドグォォォンッッ! 近くから壁を叩きつけるような音が聞こえた。
「目! 目を覚ます方法はっ!!」 「うむ……」 考え込む女性だったが、すぐに 「そんなものはない」 「そ、そんな…っ!」 絶望感が全身を襲う。 「それに起きたところで――」 ふぅ、とため息をもらす。 「また寝たら続きからじゃ。これは経験済みのようだったが?」 「……なにそれ……」 それってつまり、死ぬまでこの鬼ごっこを続けろっていうの……? それ……。 ……絶望しかないじゃない……。 あまりのことに、その場にへたり込んでしまった。 「美月っ」 洋介があたしの手を引くが、全く立てない。 「くそっ、何か!! この状況を打破する方法は何かないのか!?」
「一つだけある」
切れ長の目を細め、はっきりとそう言った。 月明かりに黒のゴシックドレスが揺らめく。幻想を映し出す。
「現実とリンクしていようが、ここは夢。夢の世界」 「思考が現実にとらわれたとき、死が待っておる」
轟音と共に職員室の壁が砕け散り、土煙を破り『アレ』が姿を現した。
「ここでは現実の原理原則が通用しないことを信じよ。全ての法則を無視できることを信じよ」 「お主らの可能性が無限であることを信じよ。己自身を信じよ」 「あらゆる絶望を打ち砕けると信じよ」
女性特有の白魚のような指があたしの手に絡みつき、立ち上がらせる。 その口元がニヤリと歪んだ。 横目で見る先には『アレ』がいる。 アレがあたしたちを磨り潰そうと寄ってくる。
「アレは誰かが作り出した悪夢。夢の切れ端。悪夢を見たら最後、夢に巣食う」 「消さぬ限り悪夢は続き、悪夢を続けるために新たな人の夢に巣食う」 「お主らがこの悪夢を抜ける方法は唯一」 「あの悪夢を消し去ること」
「い、いきなりそんなこと言われても……」 彼女はあたしの手を離すと目を細め、ゴシックドレスの両の端を掴み軽く会釈した。
「――妾は夢の案内人。古来より人の悪夢を喰らう者。名をば『獏(バク)』と呼ばれておる」 「お見知りおきを」
「オオオオオオォオォオォオォオォッッッッ!!!」 咆哮と共に職員用の机が宙を舞う。 「避けよ!」 グイと手を引かれる。 「え? ひぃやっ!?」
――ガオンンッ!!
職員用机があたしがいた場所のタイルを削り取って後方にすっ飛んでゆく。 「気を抜くなと言っておろうっ!!」 そんなことを言ってもこんな経験がないからすぐに対処できるわけないじゃないっ! というか、一般女子高生でこんな経験をしている人がいたら出てきて欲しいっ! 「世話の焼ける女じゃ……うむ、洋介とやら」 「なんだ?」 あたりを見回しながら、獏の問いかけに洋介が答える。 「お主は存外冷静そうだな」 「冷静さだけが取り柄だ」 散乱している床から、一本の木製モップを拾い上げた。 そしてモップの頭を片足で押さえ、根元からへし折る。 「簡易武器の完成、と」 1.2mほどの木の棒を持ち、正眼の構えをとる洋介。 「獏といったか」 「ああ」 「これは夢の世界でいいんだな?」 「ああ」 「何でもできると考えていいんだな?」 「そう信じよ」 「わかった」 フッといつもの笑みをこぼし、髪をかき上げる。いつもと眼が違う。 これ、本気のときの洋介だ……。 「やらなきゃやられるというのならば……やるまでだ」 そう言うや否や、洋介が地を蹴る。通常では考えられないような脚力だ。 悪夢との距離が一瞬で縮まる。 だが悪夢も、その巨体からは想像もつかない反応速度で巨大な拳を繰り出した。 「チッ!」 洋介が懐まで飛び込み、敵の拳を木の棒の背で軽くいなす。 そのままの勢いで顎に膝蹴りが決まった。 跳ね上がる悪夢の頭。 「喰らいなァァァッ!!」 洋介の前に大きく晒された喉元に折った木の棒が衝き立てられた。
クパンッ!
木の棒が散った。 皮膚に何一つ傷をつけずに砕け散る木片。 「な……ッ」 瞬間。 「グオッ!!」 ハンマーのように悪夢の頭が振り下ろされ、洋介に容赦なく叩きつけられた。 「ぐあああっ!?」 床に叩きつけられた挙句、その反動で廊下の端まで吹っ飛ばされた。 「洋介っ!?」 「ぐ……ぐ……」 よろよろと立ち上がった。 「バ、バカじゃなければ怪我ではすまなかっただろうな」 「そ、それ関係ないでしょ……」 立ち上がった洋介を見て胸をなでおろす。 普通なら正直死んでいるほどの飛び方だった。 だが洋介は服は破れているものの、そんなに大きな怪我をしていない。 「どうやらタフさに自信があるようじゃな。馬鹿は怪我をしないと信じ込んでいるのか」 獏まで感心している。 感心して良いのかな、そこって。 「奴だけでは無理か。美月とやら、妾たちもゆくぞ」 漆黒のドレスがフワリと翻る。 「へ?」 思わず変な声が出た。 行く? 行くって? 「腑抜けがッ!!」 一括された。 「何を呆けた面をしておる! 奴を消さん限りはこの悪夢から逃れられぬぞ! さっきも言ったろう!」 「え、ええっ!? あ、あたし、とりあえず女の子……」 「ええい、そんなこと知っておるーっ!」 ばふんばふんと腕を振る。 怒り方は意外と子どもっぽいかもしれない。 「単純にパワーだけでは妾よりも奴が上じゃ。妾も先から続く戦闘でかなり力を消耗しておる」 「だからお主の体を貸せ」 言っていることが良くわからない。 「ええい、もういいから手を貸すのじゃっ!」 「え、え、え? な、なに?」 あたしの手に獏の白い指が絡む。 途端、あたしの体に……獏が吸い込まれた。 ……。 って、えええええーーーっ!? 『足りない力は足すのみじゃ』 『ほう、お主なかなか良い身体をしておる。馴染むぞ』 身体の中から声が聞こえてくるっ! 『妾とお主、相当に身体の相性が良いようじゃ。お主の持つ力と妾の力の波長がピタリと合えば余程の力を出せようぞ』 「中で変なこと言うなぁぁぁーーーっ!」 『何、安心せい。戦闘は妾がサポートする。ここが夢だということ、己を信じることを忘れなければ死にはせん』 そうこうしている時だ。 「があああああぁぁぁぁーーーッ!!」 洋介が吹っ飛んで行き、後ろの教室の机を弾き飛ばしながら止まった。 『ふむ、お主が駄々をこねている間に……あやつが死ぬぞ?』 「ぐは……っ」 口からは血が零れ出ている。 『どうやらあやつは死を意識し始めてしまったようじゃ』 「よ、洋介っ!?」
そ、そうだ……。 選択肢はないんだ。 ……現に昨日、目の前で人が死んだ。現実からその姿を消した。 何もしなかったら、それは真っ直ぐあたしたちの未来図だ。
「ぐああっ!?」 ――洋介が弾かれ、壁に激突する。
何ができるかなんてわからない。 わかってるのは、やらなきゃ死ぬということだ。 なら考えるだけ無駄ということだ。 もう後なんてないんだ。
足が震えているのがわかる。 「……!」 自分の頬を叩いた。 「し、しっかりとサポートしてね……」 怯えてる自分を奮い立たせる。 『ああ。任せておれ』 「…………………………やってみる……!」 あたしは拳を固めた。 「おおおおおおぉぉぉぉーーーっっっ!!」 ただガムシャラに走り始めた。 叫ぶことでゴチャゴチャした考えも全部吹っ飛ばす。 脚が地を蹴り、辺りの瓦礫が宙へ跳ね上がる。 相手も反応しあたしに拳を繰り出してきた。 けど。 遅い……? 太極拳程度のゆっくりとしたスピードで拳が流れてくる。 『妾と合体したことでお主の身体の能力が格段に上がっておる。安心せいと言ったであろう』 これなら……! 「あたしでも避けれるっ!」 身をかがめる。 その頭上をゆっくりと豪腕が通り過ぎてゆく。 突風を伴った風圧が髪をデタラメに揺らす。 目の前にはガラ空きの腹部。 あたしは拳を握り締めた。 ここしかない! 思いっきり。 全身全霊を拳にこめて。 これは夢。なんでもできる夢。 どんなことだって上手くいく……ッ!!
「うぅおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉーーーっ!!」
全力全開の拳を繰り出した。 意識から全ての音が潰える。 どんどんその拳が加速していく! あまりの速度で空気との摩擦で腕が焼ける!
その拳が―― 悪夢の腹に食い込んだ。
遅れてやってくる、音。
「消し飛べえええぇぇぇぇぇぇーーーっ!!」
ドゴオオオオオオオオオオオオォォォォォォンッッッッ!!
目の前でダイナマイトが炸裂したような錯覚。 刹那、フロアのタイルを剥ぎ取り周囲の壁を薙ぎながら巨体が30mの距離を一気に吹っ飛ぶ。 吹き飛んだ先、廊下の壁を突き破り、それでも飽き足らぬ威力が巨体と共に校庭の土を削り取る。 消火器をばら撒いたときほどの土煙が舞い上がる。
巨体が 黒い霧となり拡散していく。
…………。 ……。
場に静けさが戻った。 「……終わった……の?」 『ああ、終わっただろうな』 あたしの後ろでは
「……………………ポカン」 洋介がポカンとしていた。 というかポカンと口に出してポカンとしていた。
「あ、あははは……獏の力を借りたらこんなことまで出来ちゃった」 『余程妾との相性が良かったと見える。ここまでの力を発揮できるとは思わなんだ』 「いやぁ……」 『だが危なかったぞ。妾があそこで拳にバリアを張らなかったらお主の腕もこの程度の骨折程度では済まなかっただろうな』 「へ?」 なにか今、たいそう不安なことを言った気がする。 『以後、この技をピンポイントバリア・パンチと呼称するとしよう』 そこはどうでも良かった。 ……。 自分の右手を見た。
――ぷらら〜ん。
「って、な、なななななな、ナニコレ!?」 色んな方向に曲がっていた。 「み、美月よ」 ポカンとしていた洋介がひん曲がったメガネを掛けなおし、ようやく言葉を発した。 「その腕、ゴム人間みたいでカッコイイから安心していい」 お前はジャンプに帰れ。 『あんな強烈なパンチを放ったんだ。己の身体もタダでは済まぬのは――ま、現実世界の道理であろう』 「えええええーっ!?」 なんでもできるんじゃなかったの!? 夢だから大丈夫じゃなかったの!? 『まだまだ現実の道理の壁を抜け出していなかったせいじゃな。べ、別に妾の力が足りなかったんじゃないんじゃからなっ!』 詐欺まがいだった! 『フム、本来ならば――』 何かを調べているような間。 『バリアを張ったとはいえ、26箇所の骨折、筋肉断裂、腱の損傷、内臓破裂といったところか』 ……なにか今、また大層不安なことを言った気がする。 『それを今、妾の力で完全に抑えておる』 「け、けどそれってこの夢が覚めれば……」 『たわけが! もう忘れたのか!』 『夢と現実がリンクしておると先に言ったであろう。悪夢を一匹倒した程度では変わらん。原因を突き止めない限りは続く』 『仮にお主が今目覚めた時に妾の力がなかったら――26箇所の骨折、筋肉断裂、腱の損傷、内臓破裂』 「それ絶対死んじゃうよねっ!?」 『フン、苦戦した奴を倒した礼もある。お主に妾の力を分けて治癒力を最大まで高めておいてやるわ。それならば日常生活に支障も出まい』 『ただしその間は妾は絶対お主の近くにいる必要があるし、力もゼロじゃ。子ども程度と言ってよいだろう――』 『その間にまた悪夢が出た場合は――』 そこまで言うと、夢の世界が薄れ始めた。 『――夜明けか』 「これで……もう悪夢を見ることもないんだよね?」 『ああ』 続けて獏は言った。 『お主らはな』 「え……?」 その意味を問いただす前に――
夢は霧散した。
――ちゅん、ちゅん すずめの声が聞こえる。 朝日がまぶしい……。 長い夜だったけど……ちゃんと朝が来たのだ。 夢のことは覚えている。 体が温かい。痛い箇所もない。 獏はまだあたしの身体の中にいるのだろうか。
ぐいっ。
パジャマの裾を引かれた。 温かいものがあたしの腕に触れる。 まどろみの中そちらを見た。
「……すぅ……すぅ……」
あたしの手を取り心地良さそうに眠るのは小学1年生くらいの女の子。 寝息と共に揺れるおかっぱの髪、ちっちゃい口、ちっちゃい手。 そのちっちゃい手があたしの右腕をぎゅっと抱きしめている。 とっても愛くるしい。 ぐ……そんなことは、どうでも良くて。
間違いなく獏だった。完全に子どもになった獏だった。 夢のときの高慢さもプライドも毒気も何もかも拭い去ったような天使のような寝顔。 ……。 まさかこんな姿で現れるとは思っても見なかった。
「……ん……っ……ぁ」 獏が目を覚ました。 眠気眼を擦りながら、もぞもぞと体を起こし、にぱぱ〜っと天使のような笑顔をあたしに向けた。
「おはよ、ママ」 「マ、ママ……?」 「うん、おはよ、ママ」 「……あ……あたし?」 「わらわね、わらわね、ママからね、離れちゃダメなの。ねっ?」 きゅっと子猫が甘えるように「ママ〜」とあたしの腕を抱きしめた。 それがなんとも心地よいんだけど、そんなことはどうでもよくて。
「でええええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇーーーーっ!?」
あたし、御門美月は高校1年生にして―― ママになったらしい。  ホームページへ |